2002-02-01から1ヶ月間の記事一覧

W.カール・ビブン「誰がケインズを殺したか 物語で読む現代経済学」

[日経ビジネス人文庫 2002年2月1日文庫版初版 1990年翻訳原著刊] この本を読んで、経済について、いくつか、とんでもない誤解をしていたことに気づいた。たとえば、ニュー・ディール政策はケインズとはまったく関係ないのだそうである。 本書は…

竹内靖雄「正義と嫉妬の経済学」

[講談社 1992年9月3日初版」 新古典派というかアダム・スミス派の竹内氏の著書を読み返してみようかと思う。 竹内氏の本はどれも大変楽しく読める。それは氏が大変な教養人・読書人であるのと、「おれが日本を運営すれば・・・」といったあぶらぎった…

Robert Arthur "The Three Investigators 1 The Secret of Terror Castle"

アメリカの小学生向け「少年探偵」シリーズの第一作。このアメリカの少年探偵達は、会社をつくり、自分たちの活動の社会への宣伝効果をしかっり計算しながら、行動する。 そうはいっても子供と大人の対比など、きちっと達者な筆で描かれている。 なんとなく…

吉川洋「転換期の日本経済」

[岩波書店 1999年8月27日初版] ケインズ学派(中谷巌氏のような現代日本における主流である新古典派に対する)により書かれた日本経済の分析の本である。 これを読むと経済学というのは、まだ何もわかっていないのだなあ、と思う。景気を左右するもの…

冷泉彰彦「9・11 あの日からアメリカ人の心はどう変わったか」

[小学館 2002年3月10日初版] たいへん気持ちのよい本である。2001年9月11日以降のアメリカについてのレポートであり、観察された事実、それについての報道、それにたいする自分の意見を淡々と押さえた筆で述べている。 筆者の立場は日本でいえば「…

森永卓郎「日本経済「暗黙」の共謀者」

[講談社+α文庫 2001年12月20日初版] なんか著者の森永氏は変になっているみたいである。木村剛という人と論争しているらしく、その私怨から書かれた本のようにも思われる。 一種の陰謀史観というか、デフレが続くことで利益をえる強者が共謀してデ…

森永卓郎「バブルとデフレ」

[講談社現代新書 1998年12月20日初版] 村上龍の「だまされないために・・・」で言及されていたので、思い返して読み直してみた。3年以上前に書かれた本であるが、現状とずれていないというか、著者の予測通りデフレは進行している。 著者によれば、…

村上龍「だまされないために、わたしは経済を学んだ」 

[NHK出版 2002年1月30日初版] 村上龍が、金融問題などを論じていることには、あちこちから「あいつは何をやっているんだ?」というような評があるようである。福田和也も「作家の値うち」で<証券アナリスト>みたいと揶揄している。 その村上が…

中谷厳「痛快!経済学」(文庫版)

[集英社文庫 2002年1月25日文庫版初版 1999年3月原版初版] 今さらこういう本を読んでもという気もするが・・・。1999年3月にでたマンガ版?の改定版。前著は読んでいないが、この3年の間の日本経済の動向をふまえて、増補・加筆したものら…

C. S. Lewis " The Chronicles of Narnia 4 Prince Caspian"

[1951年初版] 連作の歴史年代としては4番目、作としては「ライオンと魔女」につぐ2作目。 今まで読んだ3作のなかでは一番平凡。悪が小さいし、作全体が単なる物語の部分が多く、広がりに乏しい。象徴性を欠く。もっとも、いろいろな先行する作品の…

家近良樹「孝明天皇と「一会桑」 幕末・維新の新視点」

[文春新書 2002年1月20日初版] 江戸から明治への転換は、本来諸藩の合議体制という江戸との連続性を残した体制に落ち着きかけていたのに、徳川慶喜のボーン・ヘッドによって、西郷・大久保路線に9回ツーアウトからの逆転ホームランを喫してしまっ…

C. S. Lewis 「The Chronicles of Narnia 2 The Lion, the Witch and the Wardrobe 」 

[1950年初版] 第一巻の「Magician's nephew 」が「創世記」なら、この巻は「キリストの死と再生」である。 そして、この巻にもあるのが、<神>であるライオン、アスランの孤独と寂しさである。<神>は絶対的にひとりぽっちなのである。誰一人として…

C. S. Lewis"The Chronicles of Narnia 1 The Magician's Nephew "

[1955年初版] これも「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」巻末の推薦図書の一冊。 有名な本だが、今まで食わず嫌いで敬遠してきたが、読んでみて、とても面白かった。 「創世記」である。世界を創るライオンの孤独な姿! 作者は神学…

金谷武洋「日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す」

[講談社選書メチエ 2002年1月10日初版] <目から鱗>の本である。 著者は、カナダのフランス語圏であるケベック州で日本語を教えているひとである。 前の「ビック・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」も、ながらく米国でくらした女性が、…

K. A. Applegate "Animorphs 3 The Encounter"

[ Scholastic 1996 ] 第一巻が男の子、第二巻が女の子で、第三巻のこれは<鷹>が主人公になる。5人の子供たちが動物に変身して宇宙からの侵入者をたたかう話であるが、子供たちが動物に変身できる時間は2時間以内で、それ以内に人間にもどらないと永久に…

スーザン・ソンダク「この時代に想う テロへの眼差し」

[NTT出版 2002年2月5日初版] 前の福田氏の本と違って、きわめて重い印象の本である。ここにはほとんど全世界を相手に独りで闘っているようなひりひりした剥き出しの個がある。シニックなものは微塵もない。世界のすべてに異を唱えるが、ただ反対す…

福田和也「新・世界地図 直面する危機の正体」

[光文社 2002年1月30日初版] 2001年9月11日をもって世界は変わった、ここから本当の21世紀がはじまるというのは、多くのひとのもった感想であるかもしれない。 わたくしもそう思うものであるけれども、わたくしなどは単に「20世紀の(ある…

橋本治「「三島由紀夫」とはなにものだったのか」

[新潮社 2002年1月30日初版] わたしが、三島由紀夫についてはじめて、なにか変だなというか違和感のようなものを感じたのは、その死の日の夕刊を見て、三島が死の日の朝、「豊饒の海」の最後の部分の原稿を編集者に渡していたという記事を読んだとき…

ポール・クルーグマン「恐慌の罠 なぜ政策を間違いつづけるのか」

[中央公論新社 2002年1月30日初版] 経済学はごく大きくいって、二つにわかれるように思われる、人間が経済活動をいとなむ限りにおいて、つねに直面する問題をあつかうものと、ある特定の問題をあつかうものである。 経済学は「希少性」をあつかう学問…

K.A.Applegate "Animorphs 2 The Visitor "

[ Scholastic 1996 ] Animoorphs シリーズの第2巻。5人の子供たちが宇宙人の侵入とたたかう話。どうもこの5人の子供たちが、交互に一人称で語る趣向らしい。今度は女の子が語る番。それぞれの動物がもつ「環境世界」をかなりきちんと書こうとしている点は…