2002-06-01から1ヶ月間の記事一覧

丹生谷貴志「家事と城砦」

河出書房新社 2001年1月20日初版 丹生谷貴志の名前をはじめて知ったのは「書肆風の薔薇」というところから刊行された「吉田健一頌」という本の中でであった。この本は、丹生谷貴志、四方田犬彦、松浦寿輝、柳瀬尚紀の4人がそれぞれ吉田健一論?を書…

島田雅彦「フランシスコ・X」 

講談社 2002年4月26日初版 フランシスコ・ザビエルを主人公とした小説?である。伝記ではなく、ノン・フィクションでもないが、小説であるというには何かためらいを感じさせるものがある。 小説であると呼ぶのをためらわせるのは、これがザビエルとい…

内田樹「寝ながら学べる構造主義」

文春新書 2002年6月20日初版 構造主義以前、始祖としてのソシュール、そのあと4人組み(フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカン)の計6章からなる。最初の2章が面白く、あとはごく常識的な紹介である気がした。 著者によれば、本書は入門書…

熊野純彦「レヴィナス入門」

ちくま新書 1999年5月20日初版 内田氏の論がまさに弟子としてのレヴィナス論であるとすれば、第三者によるレヴィナス論である。内田氏の描くのが躁状態のレヴィナスであるとすれば、欝状態のレヴィナスである。 歴史の中のフランス5月革命の同時代者…

内田樹「レヴィナスと愛の現象学」

せりか書房 2001年12月15日 初版 著者の「「おじさん」的思考」を読んで、読んでみる気になった。 この本を読んで、「「おじさん」的思考」を読んだときには、カソリックかと思ったレヴィナスはユダヤ教に依拠していることがわかった。依拠している…

吉田武「虚数の情緒 中学生からの全方位学習法」

東海大学出版会 2000年2月20日初版 基本的には数学論、数論の本であるが、それにとどまらない変な本である。著者の「オイラーの贈り物」は数学書としては稀な3万部をこえるベストセラーになったのだそうであるが、eのiπ乗が−1になるというオイラー…

内田樹「「おじさん」的思考」

晶文社 2002年4月10日初版 「あとがき」によれば、最近きわめて旗色の悪い「日本の正しいおじさん」の擁護と顕彰のための本ということであり、「額に汗して仕事をするのはよいこと」であると信じ、「強いお父さんと優しいお母さんとかわいい子供たち…