2002-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて 第二次大戦後の日本」

岩波書店 2001年5月30日初版 占領時代の日本を論じた本。 連合国との戦争は3年8ケ月であるが、占領期間は6年と8ケ月におよぶ。占領期間は戦争期間のほぼ倍であり、日本のその後に多大な影響をおよぼした。 占領時代の前後のことを考えるためには…

芝伸太郎「うつを生きる」

ちくま新書 2002年7月20日初版 日本に多いとされている「メランコリー親和型うつ病」について論じた本。 著者は、精神疾患は風土病の色彩をもつという。なぜなら、固有の文化・風土をぬきにした精神病理というのはありえないから。風土とは「人間の自…

佐野洋子「100万回生きたねこ」

講談社 1977年10月20日初版 絵本。100万年のあいだ、100万回死んで、100万回生きた、とら猫の話。 このとら猫は、何よりも自分を愛するので、飼主に愛されてもわれかんせずで生きている。それが死ぬと飼主は一方的に悲しむが、とら猫はまた…

諸富祥彦「さみしい男」

ちくま新書 2002年7月20日初版 日本の男は若い男も中年もまったく元気がない。それを脱するためにはどうしたらいいか? 「自分に正直」であることを何より大切にし、しっかりした「自分」を持った、いい意味での個人主義に徹することである。そのため…

立花隆「「田中真紀子」研究」

文藝春秋 2002年8月10日 初版 こういう題名になっているが、実は田中角栄研究で、田中真紀子は刺身のツマ。 日本の現在の政治が、そして経済が田中角栄が築き上げた枠組みの中で動いているということが非常によくわかる。そして小泉純一郎のしている…

加藤典洋「ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ」

クレイン 2002年5月9日初版 雑文集。 まずマフマルバフの「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」への感想からはじまる。そして、このマフマルバフの文が、なぜ多くの「左翼」的な世界観がアメリカを批判する「正…