2003-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 小谷野敦 「反=文藝評論 文壇を遠く離れて」

新曜社 2003年6月20日 今時珍しく文学を道徳的にあるいは倫理的に読む試み。違うかな。 最後の「『ノルウェイの森』を徹底批判する −−極私的村上春樹論」から。 「わたしが春樹を容認できない理由は、たった一つ。美人ばかり、あるいは主人公好みの女…

 養老孟司 「養老孟司の<逆さメガネ>」

PHP新書 2003年8月25日初版 本のタイトルが「養老孟司の<逆さメガネ>」である。タイトルに名前が入ってしまうところが凄い。「バカの壁」が売れて超有名人になったということなのだろうか? 「バカの壁」はしゃべったことを本にまとめたと書いて…

 養老孟司 「形を読む 生物の形態をめぐって」

培風館 1986年10月15日初版 「唯脳論」を読んでいたら、これは「形を読む」の続きであると書いてあった。それで17年ぶりに読み返してみた。養老氏にとって「ヒトの見方」につぐ二冊目の単行本であるらしい。養老氏の本の中ではあまり人気がないら…

 村上龍 「2 days 4 girls 」

集英社 2003年8月10日 初版 「2日間で4人の女とセックスする方法」というとんでもない副題がついているが、内容とはほとんど関係がない。 小説であるが、ほとんどストーリーはない。夢の中のような場所である女性を探してさまよう男の回想というの…

 養老孟司 「唯脳論」 (2)

6)脳は脳のことしか知らない デカルトは cogito ergo sum 我思うゆえに我ありといった。これは「私は脳であり、脳は存在する」といったのである。デカルトの時代に脳の知識が十分であれば、そういったはずである。 数学の規則は脳の規則である。ユークリッ…

 養老孟司 「唯脳論」(1)

ちくま学芸文庫 原著は1989年初版 養老氏の「バカの壁」がバカ売れしているらしい。養老氏が以前から言っていたことが書いてあるだけであり、とくに目新しいことがあるわけではないのになぜか急に売れている。ベストセラーというのはそういうものなのか…

 ロルフ・デーゲン「フロイト先生のウソ」 

文春文庫 2003年1月20日 初版 ドイツの科学ジャーナリストが書いた心理学・精神分析学批判の本。まあ批判というような大上段にふりかぶったものではなく、おちょくっているというような色彩のものだが。ということでとくにフロイトだけを批判した本で…

 村上春樹 柴田元幸 「翻訳夜話2 サリンジャー戦記」 

文春新書 2003年7月20日初版 村上春樹と柴田元幸が、サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の翻訳をめぐって議論し、あわせて村上が本来翻訳に付する予定であった解説と柴田の「キャッチャー論」を収載したもの。 前の三浦の本とくらべて、…

\読書備忘録] 三浦雅士「村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ」

新書館 2003年7月11日初版 変な本である。300ページ弱の本の真ん中100ページが三浦氏と柴田元幸の対談。なんだか村上論と柴田論では独立した本は書けないので、合わせ技で一冊の本にし、対談で水増ししたような印象。 最近の日本の若い文学志望…