2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

酒井順子 「負け犬の遠吠え」

[講談社 2003年10月27日初版] ここでいう負け犬とは、<未婚・子ナシ・30代以上>の女性(狭義)。最優先事項は「現在結婚していないこと」。したがって、広義には、離婚して今は独身の女性も、結婚していないシングル・マザーもここに入る。つま…

G・クライツァー 「デブの帝国 いかにしてアメリカは肥満大国となったのか」

[バジリコ 2003年6月25日初版] ほとんど世界一の肥満大国であるアメリカ人の肥満の話。 この本を読んでいくつか知ってびっくりしたことがあるが、まずその一つがアメリカにおいて、基本的に肥満は貧困層、貧しい労働者層の問題であるということであっ…

竹村公太郎 「日本文明の謎を解く 21世紀を考えるヒント」

[清流出版 2003年12月28日初版] 毎日新聞の書評で養老孟司がとりあげていた本。著者はもと建設省のひと。ダムや河川の技術者から、長良川河口堰の担当者となり、さらには行政官として日本のインフラ整備にかかわったひとである。「地形と気象」から…

J. Stinbeck 「The Pearl 」

Puffin Book 1947 初版 英語の勉強。メキシコの極貧の漁夫が素晴らしい真珠を採ったことから生じる悲劇。ということになると、どこかに神話的・象徴的な感じが必要に思うが、最初の部分こそそういう雰囲気があるものの、あとはリアリズムに傾…

橋本治 「「個性」とは哀しいものである」

新潮社雑誌「考える人」連載「いまわたしたちが考えるべきこと」最終回 2004年冬号 ここでとりあげる文章をふくむ単行本が今年3月に刊行されることが予告されているから、その時にとりあげてもいいのだが、前の村上の文章との関係でここでとりあげる。 …

村上龍 「13歳のハローワーク」

[幻冬社 2003年11月30日 初版] 自分が何が好きかということから、将来の自分の職業について考えてみようと子どもに語りかけるという絵本である。 とはいうももの、実際にいいたいのは、サラリーマン・会社員という選択以外にもいろいろな選択肢があ…

橋内章 「そこに酒あり煙草あり 酒と煙草を楽しむための医学書」

[真興交易(株)医書出版部 2003年12月15日 初版] 現役も麻酔科医の書いた本。このひと酒も煙草も楽しむひとらしくて、最近どうも煙草の評判が悪い、本当にいわれているほど悪いのか?という興味からインターネットを駆使して最近10年くらいの医学…

浜崎智仁 「コレステロールは高いほうが長生きする」

[エール出版社 2003年11月15日初版] 現役の臨床家かつ脂質栄養学者(富山医科薬科大学教授)の書いた本。またかなり専門的な話。 最近日本で出てきたいくつかの疫学研究で、コレステロールが高くても総死亡が高くない、すなわち寿命が長いことが明ら…

柴田博 「中高年の健康常識を疑う」その2

第一章はこの前に論じた。ここは第二章以下である。 高齢者自身が自分をみじめな存在であると思っているなら、若い世代に尊敬を期待することなどできるはずはない。 アメリカでは、人種差別、性差別とならんで高齢者差別が大きな社会問題となっている。 <社…

柴田博 「中高年健康常識を疑う」その1

[講談社選書メチエ 2003年12月10日 初版] 全体で6章からなるが、序章と終章は実際には導入とまとめのようなものであり、第1章から第4章までが本論である。第1章の「老人の健康常識の嘘」はタイトルは老人であるが、実際には成人病(生活習慣病)…

 羽入辰郎 「マックス・ヴェーバーの犯罪 −『倫理』論文における資料操作の詐術と「知的誠実性」の崩壊− 

ミネルヴァ書房 2002年9月30日 初版 養老孟司氏が毎日新聞の読書欄で2003年の収穫としてあげていたもの。実際には一昨年の刊行。最近こんな面白い本を読んだことがない。まるで推理小説を読む面白さである。きちんとした学術書であるが、それがど…

 橋本治 文 岡田嘉夫 絵 「仮名手本忠臣蔵」

ポプラ社 2003年10月 わたしの知識にはあちらこちらに大穴が空いているが、日本の古典もその一つである(西欧の古典ももちろんだけど)。 それで、歌舞伎などというのも全然しらない世界である。 橋本もいうように「仮名手本忠臣蔵」も名のみ高くて、…