2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

富士川義之 「新=東西文学論 批評と研究の狭間で」

[みすず書房 2003年12月18日初版] 富士川氏が論じたさまざまな文学論を「英米の文学」と「日本の文学」についてわけて収載したもの。こういう学識がある人は無条件に尊敬してしまう。本当は自分はこういうひとになりたかったのだなという気もする。 …

清水徹 「吉田健一の時間 黄昏の優雅」

[水声社 2003年9月20日初版] 清水徹の書いた多くの吉田健一にかんする論考を集めたもの。「黄昏の優雅」という副題にも見られるように、穏当な、現在流布している吉田健一像に基本的にそったものである。 その中の一篇「時間、この至高なるもの」の中…

橋本治 「いま私たちが考えるべきこと」

[新潮社 2004年3月30日初版] この本の11章にあたる「個性とは哀しいものである」についてはすでに雑誌「考える人」に掲載された時点でとりあげているが、今回単行本として刊行されたので、あらためて本全体を通して論じてみる。 根源的な本である。…

鶴見俊輔 上野千鶴子 小熊英二 「戦争が遺したもの 鶴見俊輔に戦後世代が聞く」

[新曜社 2004年3月10日 初版] わたくしは市民運動というのが大嫌いであって、だから市川房江もその弟子の管直人も青島幸男も大嫌いであるし、「ベトナムに平和を! 市民連合」などというのをやっていた小田実も大嫌いである。まあほとんど生理的嫌悪…

小熊英二 「<民主>と<愛国>−戦後日本のナショナリズムと公共性」

[新曜社 2002年10月31日初版] 注と索引もふくめると千ページ近くもあり、値段も6千円以上という大著であるけれども、私の買った今年一月の版が第8刷となっているから、けっこう売れているのであろう。一ケ月くらいかけて少しづつ読んできた。 これ…

加藤典洋(編) 「イエローページ村上春樹 Part2」

[荒地出版社2004年5月1日 初版] 加藤が教鞭をとっている明治学院大学の学生との討論による村上春樹論。とはいっても文体も加藤のものであるし、加藤の著書といってもいいであろう。 今年のはじめに読んだ加藤の「テキストから遠く離れて」と「小説の未…

町田康 「屈辱ポンチ」

[文春文庫2003年5月10日初版 原著1998年12月初版] また読んでしまった。中毒なのだろうか? 「けものがれ、俺らの猿と」と「屈辱ポンチ」の二作をおさめる。「けものがれ・・・」はよくわからない。なんか薬を飲んで書いたのかなという感じ。大…

町田康 「くっすん大黒」

[文春文庫2002年5月10日初版 原著1997年3月初版] 「パンク侍・・・」が面白かったので読んでみた。処女作の「くっすん大黒」と第二作の「河原のアパラ」を収めている。 このひと初めっからこうだったのね。「パンク・・・」の小道具である猿も刺…