2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

橋本治 「女賊」

[集英社 1998年9月30日 初版] これも初めて読む。江戸川乱歩原作「黒蜥蜴」による一人芝居であるが、乱歩の原作も、三島由紀夫の「黒蜥蜴」もどちらも読んでいない。わたしは乱歩というのは根は健全な人ではないかと思うので、これは乱歩の原作より、…

橋本治 「橋本治が大辞林を使う」

[三省堂 2001年10月20日初版] これも初めて読んだ。こういうタイトルの本だが、大辞林という辞書の話はあまりでてこなくて、もっぱら話は、橋本治における言語の習得という方面について。 橋本治がなぜ歌舞伎に興味をもったのかということがよくわか…

金井美恵子 「目白雑録 ひびのあれこれ」

[朝日新聞社 2004年6月30日 初版] 金井美恵子氏を最初に知ったのは、その処女作?「愛の生活」を石川淳とか吉田健一とかが絶賛していたときで、それで読んでみたのだが、なんだかよくわからなかった。それ以来ずっと縁のないままできていたのだが、ど…

ダン・ブラウン 「ダ・ヴィンチ・コード」

[角川書店 2004年5月30日 初版] 基本的に暗号解読小説。その暗号解読の過程でキリスト教裏面史にかんする薀蓄が語られるという仕掛け。上巻を読んでいて、わたくしには初耳の話でも荒俣宏みたいな物知りなら、そんなことみんな俺は知っているぜ、とい…

橋本治 「風雅の虎の巻」

[ちくま文庫2003年7月9日 初版 原著1988年9月初版] 最近橋本治の本を読み直しているが、この本は今度はじめて読んだ。 大変面白かったのでレジュメをつくってみる。 江戸時代、男は髪型によって分類できた。野郎(チョン髷)、若衆(前髪)、坊主…

井上章一 「アダルト・ピアノ おじさん、ジャズにいどむ」

[PHP新書 2004年7月2日初版] 「美人論」「パンツが見える」の井上章一氏が中年にしてピアノにいどんだ奮戦記である。 現在49歳の井上氏は41歳からピアノをはじめた。理由はもてたいからなのだそうである。 ピアノを弾くともてるのか? 井上氏の…

橋本治 「天使のウインク」

[中央公論社 2000年3月25日初版]・その② 後半の三分の二。 日本人は勝者への道という選択肢しかもたない。もしそれが勝者への道であるなら抵抗なく管理される方向を選択する。 今の日本人にとって労働とは会社に通うことである。それは肉体労働ではな…

橋本治 「天使のウインク」

[中央公論社 2000年3月25日初版]・その① 橋本治の本を少し読み返している。 この本は4年前の刊行だが、中央公論に3年ほど連載された文をおさめたもの。 本質はシンプルなのであって、冷静に事態を見極めて行けば、”怖い”と思えるようなものはなくな…

中沢新一 赤坂憲雄 「網野善彦を継ぐ」

[講談社 2004年6月25日初版] わたしが網野の名前を知ったのはずいぶんと最近のことで、まとめて集中的に読んだのは5〜6年前のことであろうと思う。考えてみれば私が読んだ日本史に関する本といえば網野氏のものだけかもしれない。その網野氏がなく…