2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新井潤美 「階級にとりつかれた人びと 英国ミドル・クラスの生活と意見」

[中公新書 2001年5月15日初版] 小谷野敦の「すばらしき愚民社会」で紹介されていた本。 イギリスは上流社会と労働者階級の間にミドル・クラスがあるが、それは、アッパー・ミドル・クラスとロウワー・ミドル・クラスにわかれ、前者は上流階級に近いが…

橋本治 「広告批評の橋本治」 その4.「いやみな文学史」

とんでもない論である。作家を東大出かどうかで分類する日本文学史などというものがかつてあっただろうか? 芥川龍之介も森鴎外も夏目漱石も谷崎潤一郎もみな東大出である。これらは日本文学史の異端である。だがこういう作家だけが東大出ではない。なんでも…

橋本治 「広告批評の橋本治」 その3 「ぼくらの政治」

日本では政治に関心がないというのは、自分は政治家になる気がないということである。田舎のお祭り騒ぎから無関係でいたいということでもある。 議論というのは立場の違いを前提にする。 自民党の前提は、全体の調和を乱さないように、という村の論理である…

橋本治「広告批評の橋本治」  その2 橋本流「社会主義」入門

右翼とは反動である。左翼の思想がまず先にでて、その後で右翼の思想がでる。 ソヴィエト崩壊時のソヴィエト共産党の行動は「反動」であった。民主化運動が左で、ソヴィエト共産党が右であった。 平面上で位置を決定するには、縦軸と横軸の二つの座標軸が必…

橋本治 「「広告批評」の橋本治」

[マドラ出版 1995年3月25日 初版] その1 「なぜ「結婚」したの?」 先日開店したばかりの東京駅の丸善本店で偶然みつけたもの。現在、絶版であるらしい。再販制度外というか買取で返品しない本らしいから、売れずに残っていたのであろう。 最初の浮…

佐藤愛子 「それからどうなる」

[文藝春秋社 2004年8月30日 初版] どこかで小谷野敦が、佐藤愛子の啖呵を賛嘆していた。佐藤がすぐ人に同情し、結果裏切られてきたのに、また同じことを繰り返しそうになっているのをみて、誰かがいいかげん勉強したらというようなことをいったのに対…

嵐山光三郎 「「不良中年」は楽しい」

[講談社文庫 2000年11月15日初版 単行本1997年11月初版] 以前、単行本でもっていたのだが、どこかになくしてしまったので、あらためて文庫本を買いなおした。それについている赤瀬川原平の解説が秀逸。 赤瀬川によれば、アヴァンギャルド、す…

村上春樹 「アフターダーク」

[講談社 2004年9月7日 初版] よくわからない。これが村上春樹作ではなく、無名の作家の作であれば、出版されただろうか? 長編小説の発端だけ読まされて投げ出されたような印象である。 その書き出し。 「目にしているのは都市の姿だ。 空を高く飛ぶ夜…

小谷野敦 「すばらしき愚民社会」

[新潮社 2004年8月15日初版] 雑誌「考える人」に連載していた「大衆社会を裏返す」に加筆し、改題したもの。 とんでもないタイトルであるけれども小谷野さんというのはいい人なのだろうなあと思う。政治ができそうもないひとである。自分は若いころは…