2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

小松秀樹「医療崩壊」(6) Ⅴ.Ⅵ章

第酈章「安全とコスト」、第Ⅵ章「イギリス医療の崩壊」の2章をまとめてとりあげる。すべて「医療崩壊」の問題を直接論じている。 小松氏によれば、日本の医療崩壊は病院からの医師不足という形で表面化してきているが、これは医師の数の不足によるのではな…

今日買った本

高橋源一郎「ニッポンの小説 百年の孤独」 文藝春秋 2007年1月 立花隆「ぼくの血となり肉となった五〇〇冊そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊」 文藝春秋 2007年1月 スピノザ「エティカ」 中公クラシックス 2007年1月

小松秀樹「医療崩壊」(5)「Ⅳ 事件から学ぶこと」

この章は、慈恵医大青戸病院事件について論じたかなり専門性の高い章であり、医療の世界の外にいるひとには理解が難しいのではないかと思う。わたくしも内科の人間であるので、外科手術の問題を論じた本章を十分に理解できていない可能性はあると思う。慈恵…

小松秀樹「医療崩壊」(4)「Ⅲ 社会の安全と法律」

本章「社会の安全と法律」は、医療と法律との関係についての小松氏の個人的見解を述べた章であるが、本書の中でもっとも違和感を感じた章である。 小松氏はここで、「結果違法説という法律の論理を、医事紛争に持ち込むのは適切ではないと思う」といっている…

今日買った本

「ジョン・ダン詩集」 岩波文庫 1995年 L・ストレイチー「エリザベスとエセックス 王冠の恋」 中公文庫 1987年 「大東亜戦争詩文集」 新学社近代浪漫派文庫 2006年8月 D・H・ロレンス「ロレンス 愛の手紙」 筑摩叢書 1976年 J・グラッ…

今日買った本

E・M・フォースター「ある家族の伝記 マリアン・ソーントン伝」 みすず書房 1998年

I・ブルマ&A・マルガリート「反西洋思想」

新潮新書 2006年6月 偶然、本屋で見つけた本。たいへん面白かったが、去年6月の発刊である。とくに評判になっているようでもないが、わたくしにだけ面白いのだろうか? 原題は「OCCIDENTALISM:the West in the eyes of its enemies 」で…

今日買った本

I・ブルマ&A・マルガリート「反西洋思想] 新潮新書 2006年9月

小松秀樹「医療崩壊」(3) Ⅱ 警察介入の問題

小松氏によれば、警察は本質的に暴力装置であるのだから(同じく暴力装置という側面を持つ外科手術と同様に)、その活動についてはメリットとデメリットを常に考えなければならない。しかし警察官は医療について、一般の患者と同様の認識しかもっておあらず…

E・ウォー「ピンフォールドの試練」 

集英社「世界の文学 15」 1977年 最近、こんな面白い小説を読んだことがない。ウォーの小説は「黒いいたずら」「大転落」「ブライズヘッドふたたび」に次いでこれで4冊目であるが、系列としては「黒いいたずら」につらなるような滑稽小説ということに…

今日買った本

K・チャペック「イギリスだより」 ちくま文庫 2007年1月

E・M・フォースター「天使も踏むを恐れるところ」

白水社 1993年9月 フォースターの処女長編小説である。今まで読んだフォースターの小説(「ハワーズ・エンド」「インドへの道」「果てしなき旅」)に較べると、小説としての結構が一番きちっとしている小説らしい小説で、最初を我慢して読むというよう…

今日買った本

パヴューゼ「美しい夏」 岩波文庫 2006年10月 ザミャーチン「われら」岩波文庫 1992年 1月 J・モリス「パックス・ブリタニカ」 講談社 2006年10月

E・M・フォースター「インドへの道」

ちくま文庫 1994年 小野田健氏によると(「E・M・フォースターの姿勢」みすず書房 2001年)、「インドへの道」はフォースターの最高傑作であるだけでなく、二十世紀のイギリス小説のなかの、あるいはイギリス小説史全体のなかでも屈指の名作なのだ…

小松秀樹「医療崩壊」(2) 「Ⅰ 何が「問題」なのか」

まず第一章「何が「問題」なのか」をとりあげる。 その冒頭、 医療とはどういうものかということについて、患者と医師の間で考え方に大きな齟齬がある。患者は医療が万能であり病気はすぐ発見され、たちどころに治療ができると思っている。また、一部の患者…

小松秀樹 「医療崩壊 「立ち去り型サボタージュ」とは何か」(1)

朝日新聞社 2006年5月初版 本書は虎の門病院の泌尿器科部長が書いた日本の医療の現状への批判・告発の書である。きわめて示唆に富む刺激的な本であり、さまざまな論点をふくんでいる。それで本書を材料にして、医療について何回かにわけて書いてみたい…

E・M・フォースター「小説の諸相」

E・M・フォースター著作集8 みすず書房 1994年 小説をろくに読まないくせに、この手の本は結構読んでいるというは困ったものである。フォースターの小説をいくつか読んでいるので、平行して読んでみた(再読であるが、前に読んだのがいつかは忘れた)…