2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

今日入手した本

内田樹「ひとりでは生きられないのも芸のうち」 文藝春秋 2008年1月 岩村暢子「普通の家族がいちばん怖い 徹底調査! 破滅する日本の食卓」 新潮社 2007年10月 大井玄「「痴呆老人」は何を見ているか」 新潮新書 2008年1月 Z・バウマン「リ…

橋本治「小林秀雄の恵み」(3)

小林秀雄は、本居宣長から遡って、近世における日本の学問の誕生を中江藤樹にみる。橋本治は、それはそれでいいとしても、それ以前の日本の「学問」は仏教からくるものしかないということ(小林秀雄はまったく指摘していない事実)を指摘する。それを中央公…

橋本治「小林秀雄の恵み」(2)

橋本治が「小林秀雄の恵み」の第一章から第二章にかけてでいうのは以下のようなことである。小林秀雄が「古事記」を読みたいを思って、それなら宣長の「古事記伝」かなと思い、読んでその感想を折口信夫にいったら、折口信夫は「本居さんは源氏ですよ」とい…

橋本治「小林秀雄の恵み」(1)

新潮社 2007年12月 橋本治氏の「小林秀雄の恵み」を読んで、久しぶりに“本を読んだ”という気がした。“本”を書くというのは、何かいいたいことがあり、それを充分な紙幅にわたって展開することだと思う。橋本氏の近著「日本の行く道」(集英社新書 20…

M・マーモット「ステータス症候群 社会格差という病」 その2

日本評論社 2007年10月 医科学者は生物学的な過程が心理状態に影響することはみとめるが、心理状態が生物学的現象を形成すりということはなかなか受け入れない、とマーモットはいう。医者は身体的疾患の原因についてはよく知っていると思っているので…

M・マーモット「ステータス症候群 社会格差という病」 その1

日本評論社 2007年10月 最近の「格差」ブーム?に当て込んだ本ではない。健康と社会格差についての長年の研究の成果をわかりやすく示した本である。この方面の話題をあつかった本を読むのは、R・ウイルキンソン「生命を決める社会のオキテ」、I・カ…

東浩紀「批評の精神分析 東浩紀コレクションD」 その3 データベース的動物の時代 宮台真司+東浩紀

宮台真司氏との対談。2001年のものである。 いくつかの問題提起について考えてみたい。 東氏の論その1:戦後日本を振り返ってみると、ある時期に全員が平等だと本気で思ってしまい、結果として学歴社会、競争社会、会社社会が生まれ、今度はその鬱憤を…

東浩紀「批評の精神分析 東浩紀コレクションD」 その2 工学化する都市・生・文化 仲俣暁生+東浩紀

仲俣暁生氏との対談。いくつかのことが論じられているが、ここでは一つの論点だけ。 東氏の問題提起:最近ネットで、ネット右翼とか嫌韓厨がでてきて右傾化が進んでいるといわれるが、それは違うのではないか? もともと日本はそういう国だったのではないか…

東浩紀「批評の精神分析 東浩紀コレクションD」 その1 ポストモダン以後の知・権力・文化 稲葉振一郎+東浩紀

講談社 2007年12月 「批評の精神分析」は東浩紀氏の対談集である。十一の対談が収められているが、「美少女ゲーム」をめぐる薀蓄を披露している座談会などもあり、そういうものはこちらとしては取りつくべき島がない。しかし、きわめて興味深い対談も…

ソーントン不破直子「ギリシヤの神々とコピーライト 「作者」の変遷、プラトンからIT革命まで」 その2

第7章 マルクス主義と「作者」 1.マルクスとエンゲルス 彼らのいう上部構造とは「文化」である。彼らによれば文学は個人に偶発的に宿るのではなく、経済構造により必然的に決定される。「共産党宣言」は今読めば、現在の米国主導のグローバル経済批判をし…

ソーントン不破直子「ギリシヤの神々とコピーライト − 「作者」の変遷、プラトンからIT革命まで」 その1

学藝書林 2007年11月 著者については何もしらないが、新聞の書評で見て、興味がわき入手した本である。《西欧において「作者」という概念がどのように変遷してきたか》を古典ギリシャから21世紀まで通史的にたどったものとなっている。著者は大学の…