2011-01-01から1年間の記事一覧

その2 梅田望夫「ウェブ進化論」

HPをはじめて5年の2006年頃、記事の量の多くなり、HPソフトの動作が重くなり、更新に時間がかかるようになり、困ったなあと思っていたころ、さそわれてmixiに入った。mixiには日記を書く機能があった。「その1」に書いたように、わたくし…

その1 野口悠記雄「ホームページにオフィスを作る」

このブログの前身である「個人的なHP」と名づけたホームページを開始したのが2001年の12月の末だからちょうど10年前である。なんでも10年続ければものになるというのは吉本隆明氏の有名な言葉らしい。はじめてから十年ではあるが、毎日記事を書…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(6) 第7章「治療のための病床」

本章では社会的入院の問題がとりあげられる。社会的入院という言葉は一般にはあまりなじみのないものであるかもしれない。そもそも本章のタイトル「治療のための病床」というのも奇妙な印象であるかもしれない。「治療のためでない病床」とはなんのための病…

今日入手した本

音楽史を変えた五つの発明作者: ハワードグッドール,松村哲哉出版社/メーカー: 白水社発売日: 2011/02/22メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (15件) を見る このところこういう系統の本ばかりを買っている。 何かの雑誌の「今年の○冊」とい…

今日入手した本

音楽と感情作者: チャールズ・ローゼン,朝倉和子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/12/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る この著者の前著「ピアノ・ノート」が面白かったので。 音楽の科学---音楽の何に魅せられるのか?作者: フ…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(5) 第6章「病院の世紀の終焉」

1982年の老人保健法制定を嚆矢とする医療改革の流れは年々ふくらんでゆく医療費の抑制というという視点からもっぱら論じられてきた。しかし、そこで見落とされていたことがある。それはそれ以前に厚生労働省が誘導しようとして挫折してきた様々な施策が…

今日入手した本

結核と日本人――医療政策を検証する作者: 常石敬一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/16メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 本書のような問題にはじめて興味をもったのは、はるか以前に読んだ砂原茂一氏の岩波新書の本…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(4) 第4章「医療の社会化」運動の時代 第5章 開業医の経済的基盤と公共性

20世紀にはいってようやく医療にも少しできることが増えてきて、そのことにより、民衆のあいだに医療への期待感と医療への欠乏感が生まれてきた。当時の医療は決して安価なものではなく、利用もしづらかった。そのため医療をどうやって広く社会に還元して…

筒井康隆「みだれ撃ち涜書ノート」

集英社 1979年 約150冊の本の書評や解説を集めたもの。1979年初版だが、わたくしが持っているのは、1980年刊の第3刷。山藤章二装丁。 評の長短はさまざまで、3年半にわたる感想なので、八日間で一冊、不勉強といわれるかもしれないが、しか…

今日入手した本。

「昔はワルだった」と自慢するバカ (ベスト新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2011/11/09メディア: 新書購入: 1人 クリック: 56回この商品を含むブログ (14件) を見る 氏のブログでこの自著について、「文学俗物が好きなのは、ボル…

日高敏隆さんのいろいろな翻訳

1980年代に読んだ宇宙論とか数学の話を前回とりあげたが、そのころ読んだ生物系の本は圧倒的に日高敏隆さんの訳本が多かったことを本棚をみてあらためて感じた。 まずA・ケストラーの「機械の中の幽霊」。おそらくいわゆる「反還元論」「全体論」「ホー…

今日入手した本

007 白紙委任状作者: ジェフリー・ディーヴァー,池田 真紀子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/10/13メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 78回この商品を含むブログ (30件) を見る これまた正月の読書用。書き出しを見る限り、きわめて正統的な読み…

柳瀬睦男「現代物理学と新しい世界像」

岩波現代選書NS 1984年 昨日とりあげたデイヴィスの「ブラックホールと宇宙の崩壊」の本棚のとなりにおいてあった。1984年の出版で、その当時の理論物理学の論点をきわめて真摯に論じているのだが、やはりカントールだとか「クレタ人の嘘」の話が…

D・R・ホフスタッター「ゲーデル、エッシャー、バッハ」

白揚社 1985年 昨日のエントリーでゲーデルの不完全性定理などと書いていて、この本を思い出した。 ハード・カバーのかなり大型の本で700ページ超の大冊である。1985年出版で4800円となっているから、今だとどのくらいの定価になるのだろうか…

P・C・W・デイヴィス「ブラックホールと宇宙の崩壊」

岩波現代選書NS 1983年8月 昨日の皆既月食で思い出したわけではないが、30年近く前に読んだ本である。岩波現代選書の一冊であるから新書版よりやや大きい、どうということのない装丁の本である。 著者のディヴィスはアメリカの物理学者にして科学ラ…

今日入手した本

もうすぐ絶滅するという紙の書物について作者: ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール,工藤妙子出版社/メーカー: CCCメディアハウス発売日: 2010/12/17メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 536回この商品を含むブログ (55件) を見る 紙の本につい…

 D・ゴードン「二流小説家」

ハヤカワ・ポケット・ミステリ 2011年 3月 昨日、三分の一あたりまで読んだところで、まだ何も事件がおきなくて、ちょっと退屈などと書いたのだけれども、半分くらいのところで派手な事件がおきて、起承転結の「転」に突入した。それで当然「結」へとそ…

今日入手した本

二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: デイヴィッド・ゴードン,青木千鶴出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/03/10メディア: 新書購入: 3人 クリック: 159回この商品を含むブログ (84件) を見る 以前は年末になると、「このミス」だとか「文春…

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小澤征爾さんと、音楽について話をする作者: 小澤征爾,村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/11/30メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 124回この商品を含むブログ (117件) を見る 春樹さんというひと、とにかくとんでもなく沢山音楽をきいていて…

 内田樹「呪いの時代」

新潮社 2011年11月 第11章の「戦争世代と科学について」について考えてみたい。15ページくらいの短い論で、ポパーの科学論が論じられているのだが、氏のポパーの見方に違和感を感じるからである。 敗戦をきっかけに「科学と身体」の研究に進んだ先…

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アラブ革命はなぜ起きたか 〔デモグラフィーとデモクラシー〕作者: エマニュエル・トッド,石崎晴己出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2011/09/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (12件) を見る テッドの本は「帝国以後」以来…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(3) 第3章「専門化する日本の医療」 第8章「医局制度の形成とその変容」

この猪飼氏の本は今年3月にはじめに論じていたのだが、東日本大震災に遭遇して中断してしまっていた。改めて再開したい。かなり専門的な内容で医療者以外にはあまり興味がわかない話題であるかと思うが、もしも関心を持たれたかたがあれば、申し訳ないが、…

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呪いの時代作者: 内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/11メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (75件) を見る 最近の内田さんはあっちの方というか霊的な方にいってしまっているようでなんだかなあと思っている。それでこの…

会田薫子「延命治療と臨床現場」

東京大学出版会 2011年7月 本書はさまざまな医学系の雑誌に発表された論文に加筆してまとめたものということで、基本的は医療関係者を読者に想定している本と思われるが、ごく平易に書かれているので医療に関係しないかたが読んでも十分に理解できるの…

R・ミュラー「恐竜はネメシスを見たか」

集英社1987年 ムラーの「サイエンス入門」の最初に、小惑星が地球に衝突して恐竜が絶滅したという、リチャード・ムラー「Nemesis」からの引用がある。邦訳名「恐竜はネメシスを見たか」とあって、あ、読んだことがあるなと思いだした。それで本棚…

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西洋音楽史 (河出文庫)作者: パウルベッカー,河上徹太郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/11/05メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る なにしろ河上徹太郎訳だから古い本。アンチ・ロマン派の路線らしい。解説で岡田暁生…

ASAHI Medical 2011・11「脂質異常症」

「ASAHI Medical」という医療者向けの雑誌の最新号に「脂質異常症」の特集がある。脂質異常症というのは以前なら高脂肪血症と呼ばれていたものであるが、脂質は高い方ばかりでなく低い方も問題なことがあるということで、最近このような言い方を…

 丸谷才一「持ち重りする薔薇の花」

新潮社 2011年10月 丸谷氏の最新の長編小説。 丸谷氏の長編は、「エホバの顔を避けて」1960年、「笹まくら」1966年、「たった一人の反乱」1972年、 「裏声で歌へ君が代」1982年、「女ざかり」1993年、「輝く日の宮」2003年、と「たった一人の反乱」以…

今日入手した本

「解説」する文学作者: 関川夏央出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/03メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 変なタイトルだけれども、関川氏が書いた文庫などの解説からいくつかを選んで一冊にまとめたもの。その半分く…

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語りえぬものを語る作者: 野矢茂樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件) を見る この著者の書いたものは今まで読んだことはない。科学哲学についての記事を読んでいるときに時々…