2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

J・グループマン「医者は現場でどう考えるか」(3)

第5章は「家族の愛が専門家を覆す」という題(原著では、A New Mpther'challenge という題)で日本語訳はやや感傷的な感じがある。ベトナムから里子としてアメリカに連れてきた子どもがすぐに重篤な免疫不全状態となり、SCID(重症複合免疫不全症)の診…

J・グループマン「医者は現場でどう考えるか」(2)ヒューリスティック

ヒューリスティックは heuristic で、これ自体は形容詞で原義は「発見的」というようなことらしく、heuristics で名詞になるらしい。主にコンピュータ業界と心理学の分野で使われる言葉のようで、手っ取り早く近似解を得るやり方のことを指すようである。こ…

今日入手した本

〈真理〉への勇気 現代作家たちの闘いの轟き作者: 丹生谷貴志出版社/メーカー: 青土社発売日: 2011/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 47回この商品を含むブログ (12件) を見る 丹生谷氏の一番新しい本。丹生谷氏はわたくしが今まで読んだなかで一番…

J・グループマン「医者は現場でどう考えるか」(1)

石風社 2011年10月 著者はエイズや血液腫瘍を専門にする臨床家。このタイトルを見ると、医者が臨床の現場でどのように考えるかという、医者に共通した思考法について論じているように見えるが、そうではなく現在の医療の場で主流となっている思考の方…

今日入手した本

医者は現場でどう考えるか作者: ジェロームグループマン,Jerome Groopman,美沢惠子出版社/メーカー: 石風社発売日: 2011/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (13件) を見る 原著の題名は「How Doctors Think 」で、実はもって…

J・R・ブラウン「なぜ科学を語ってすれ違うのか」(補遺)ブルア

前の記事でブルアについて書いていて、全然見当違いのことを書いているのではないかと気持ちが悪かった。ブラウンの本のあと、読みかけになっていたフラーの「我らの時代のための哲学史」を再開したのだが、索引をみるとブルアについて多くの言及がされてい…

J・R・ブラウン「なぜ科学を語ってすれ違うのか」(8)

ここではブルアというひとの科学知識の社会学についてのブラウンの議論をみていくのだが、これがいたってわかりにくいものであった。 ソーカルは「知の欺瞞」の「日本語版への序文」で、「知の欺瞞」には二つの標的があるとしている。一つがポストモダンの著…

J・R・ブラウン「なぜ科学を語ってすれ違うのか」(7)

第6章「社会構成主義の自然主義派」にフォアマンというひとの「ワイマール文化、因果関係、量子論 1918−1927 ドイツの物理学者および数学者の敵対的な知的環境への適応」という論文が紹介されている。1971年に発表されたものだそうである。その…

J・R・ブラウン「なぜ科学を語ってすれ違うのか」(6)

第4章「社会構成主義のニヒリズム派とポストモダン」は、ポストモダンとファイヤアーベントを論じているのだが、著者のポストモダンへの姿勢が定まらないので、論旨がよくわからなくなっている。ブラウンはポストモダンが左派の信用を失墜させるとして基本…

J・R・ブラウン「なぜ科学を語ってすれ違うのか」(5)幕間:フラー「我らの時代のための哲学史」など

ブラウンの本のクーンにかんするところを読んでいて、思い出して本棚の隅から引っ張り出してきたフラーの「我らの時代のための哲学史」をぱらぱらと見ていたら面白くてついつい第2章まで(約200ページくらい)読んでしまった。それでそれに関連して、ポ…