2012-01-01から1年間の記事一覧

一年の終わり

今年の一番の出来事は、3月一杯で管理職をおりることができたことで、まだ一兵卒としての仕事は続けているが、何とか会議といったものが大幅に減ったので、アフターファイブの自由時間が大幅に増えた。それでカルチャーセンターとか大学の市民講座みたいな…

今日入手した本

国の死に方 (新潮新書)作者: 片山杜秀出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/12/01メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (13件) を見る 今年の後半は片山氏の「未完のファシズム」への感想をいろいろと考えているうちに過ぎてしまったような気…

講談社文芸文庫の吉田健一の本

吉田健一の生誕100年なのだそうで、講談社文芸文庫から5冊が一度に復刊された。この文庫は文庫本といっても値段は単行本とあまり変わらず、決して安くはないのだが、「人と作品」「解説」といった巻末の文が面白いので、単行本を持っているものでも少し…

小谷野敦「日本恋愛思想史」

中公新書 2012年11月 本書を読むと、小谷野氏があまりにたくさんのことを知っているし、たくさんの本を読んでいることに驚く。プロの学者であるなら当然なのかもしれないが(もちろん全然、勉強していない学者も多いのもしれないが)、その万分の一の…

今日入手した本

快楽としてのミステリー (ちくま文庫)作者: 丸谷才一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/11/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (10件) を見る 丸谷氏のミステリー評は以前、福永武彦、中村真一郎との共著「深夜の散歩」を読…

与那覇潤「中国化する日本」(9)

第9章「「長い江戸時代」の終焉−混迷と迷走の平成日本 1990年ごろに日本の「戦後」が一つの区切りをむかえたことは確かだが、何かが終わったとしても、何がはじまったのかはよくわからない。(以下、しばらく、本文が与那覇氏の本のまとめ。括弧内がわ…

今日入手した本

本のなかの旅作者: 湯川豊出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログを見る ときどき「考える人」で丸谷才一氏の対談相手となっていた湯川豊という方、随分と文学にくわしいなあと思っていたのだが、元「…

今日入手した本

村上龍「55歳からのハローライフ」 幻冬舎 2012年12月 龍さんがこんな本を書いていたのは全然知らなかった。でもなんだかなあである。短編集。 タイトルは「13歳のハローワーク」だし・・。まだ最初の一つしか読んでいないが、まるで「人生相談の…

与那覇潤「中国化する日本」(8)

第8章「続きすぎた江戸時代−栄光と挫折の戦後日本」 1945年の敗戦時の日本にあったものは「再江戸化」したムラ社会的な生活システム(配給生活)と「中国化」した普遍的な政治の理念とエートス(八紘一宇、大東亜共栄圏・・)であった。だから、その当…

与那覇潤「中国化する日本」(番外・その2)安富歩「原発危機と「東大話法」」

前の記事で「風の谷のナウシカ」について考えていて、安富氏の本を思い出した。別に論じるつもりでいたのだが、「原発に反対するひとのある部分はオカルト的なるものを信じている」という部分について、ここで考えてみてみることにした。 安富氏のこの本では…

与那覇潤「中国化する日本」(番外)「風の谷のナウシカ」

本書の第七章に「風の谷のナウシカ」の話がでてくる。これが満州事変から原爆投下に至るまでの「あの戦争」の本質をもっともよく捉えた作品の一つであるというのである。それによれば、トルメキア(とその女王のクシャナ)が日本文明で、風の谷のナウシカに…

Kindle paperwhite 入手

Kindle の paperwhite を入手した。こういうものがでるとつい買ってしまうのはほとんど病気のようなものである。 以前、ソニーの「リーダー」とかシャープの「ガラパゴス」とかを出た途端に買ってすぐに使わなくなってしまった。今の仕様はそうでもないのか…

与那覇潤「中国化する日本」(7)

第7章 近世の衝突−中国に負けた帝国日本 近代日本がおこなった対外戦争や植民地支配は『「江戸時代」を東アジアに輸出する試み』であった(押し売りとして)。はなはだ評判の悪い創氏改名にしても、日本人への同化政策というよりも、父系血縁のネットワーク…

与那覇潤「中国化する日本」(6)

第6章「わが江戸は緑なりき―「再江戸時代化する」昭和日本 ヨーロッパ人がもはや「父親」には頼らず「組合」を作って乗り切ろうとした近代の危機を、日本人はあくまでも「父親」を中心とした「イエ」の結合によって突破しようとした。それが大正から昭和に…

与那覇潤「中国化する日本」(5)

第5章「開国はしたけれど―「中国化」する明治日本」 この本は去年の1月の刊行であるが、いまや全国「維新」だらけ、その安っぽさが明治維新の本領であるが、と与那覇氏はいう。 さて、明治維新はなぜ起きたか? 黒船が来たから? でも、お隣の中国・清では…

与那覇潤「中国化する日本」(4)

第3章「ぼくたちの好きな江戸」(続) 第3章でまだ論じていない部分があった。 (1)郡県制と封建制 科挙で選ばれた地方行政官が中央から赴任してきて、定期的に転任する体制を「郡県制」といい、領地が固定していて原則移動がない体制を「封建制」という…

与那覇潤「中国化する日本」(3)

第3章「ぼくたちの好きな江戸」 「中国史を一か所で切るならば唐と宋の間で切れる」といった内藤湖南は、「日本史を一か所で切るなら、応仁の乱の前後」といった(「日本文化史研究」)。この説について、それは日本の近世は「室町までの日本中世は日本でも…

今日入手した本

分厚い本と熱い本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(2005~2011)作者: 丸谷才一,池澤夏樹出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2012/11/19メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る これで、「愉快な本と立派な本」「怖い本と楽しい…

与那覇潤「中国化する日本」(2)

第2章「勝てない「中国化」勢力」 モンゴル帝国が、全世界的な市場経済の礎を築いたグローバリゼーションの原点だったというのは、現在の世界史の常識なのだそうである。 あれだけの広大な地域を支配したのだから、それらを直接に自ら統治することは困難で…

与那覇潤「中国化する日本」

文藝春秋 2011年11月 これは橋本治氏の「橋本治という立ち止まり方」で紹介されていた本で、同じく橋本氏の本で紹介されていた安富歩氏の「原発危機と「東大話法」」と同時に購入した。しかしこの2冊は随分と印象の異なる本で、本書は大変楽しく読め…

今日入手した本

病を癒す希望の力: 医療現場で見えてきた「希望」の驚くべき治癒力作者: ジェローム・グループマン,菅靖彦,田中淳一出版社/メーカー: 草思社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 同じ著者の「医者は現場でどう考えるか」が…

今日入手した本

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史作者: 與那覇潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/19メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 193回この商品を含むブログ (113件) を見る原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―作者: 安冨歩出版…

今日入手した本

橋本治という立ち止まり方 on the street where you live作者: 橋本治出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/10/19メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 54回この商品を含むブログ (10件) を見る こういうタイトルの本が出たのは知っていたのだが、最近…

今日入手した本

卑しい肉体 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)作者: イーヴリン・ウォー,横山茂雄(責任編集),佐々木徹(責任編集),大久保譲出版社/メーカー: 新人物往来社発売日: 2012/09/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (5件) を見る…

i-Pad mini 入手

今日、注文していた i-Pad mini が届いた。まだほとんど使っていないが、大きさとしてはこれで十分ではないかという気がする。なかなかかわいい。 i-Pod toutch、i-pod classic、i-Padも持っているので、アップルには随分と貢いでいる。キンドルも注文してし…

北岡伸一「官僚制としての日本陸軍」

筑摩書房 2012年9月 序章「予備的考察」 第1章「政治と軍事の病理学」 第2章「志那課官僚の役割」 第3章「陸軍派閥対立(1932―35)の再検討 第4章「宇垣一成の15年戦争批判」の5章からなる。序章は書き下ろしであるが、第1章が1991年…

今日入手した雑誌

考える人 2012年 11月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/10/04メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る 第11回小林秀雄賞決定発表というのがあって、小澤征爾と村上春樹の『小澤征爾さんと、音楽について話を…

今日入手した本

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。作者: 松岡正剛出版社/メーカー: 青幻舎発売日: 2012/10/05メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (23件) を見る 今わたくしには4ヶ所勤務先があり、その一つが東京駅の北…

その16 丸谷才一氏(その2)

昨日「丸谷氏は日本の文学をそれが良い方向にか悪い方向にかはまだわからないにしろ変えたひとだったのだと思う」と書いたがそれについてうまく展開できていなかったように感じるので少し補足してみる。 いい方向に変えた部分も悪い方向に変えた部分もあると…

その15 丸谷才一氏

学会で東京を離れていて新聞も読まずにいて、丸谷氏の死を今知ったところである。 丸谷氏は日本の文学をそれが良い方向にか悪い方向にかはまだわからないにしろ変えたひとだったのだと思う。たとえば石川淳の小説にしろ吉田健一の批評にしろ少数の熱心なファ…