2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

須賀敦子詩集「主よ 一羽の鳥のために」

本屋を覘いていたら、「主よ 一羽の鳥のために 須賀敦子詩集」というのがあった。 これは須賀氏の死後、見つかったもので、1959年の1月から12月に書かれたものであるが、たまたたその時期のものだけがみつかったのか、この時期だけ詩作をこころみたの…

公と私

養老孟司さんの近刊「半分生きて、半分死んでいる」を読んでいて、「国だけを公とする考えを右翼といい、個と公をごっちゃにするのを左翼という」という文が目についた。 前半はわかりやすい。公と対立するものは私であろうが、右翼は私のために生きる方向を…

根性

最近、ちくま文庫で刊行された「吉行淳之介ベスト・エッセイ」に「「根性」この戦後版ヤマトダマシイ」という文があった。文庫にはいつ書かれたものであるかが記載されていないが、「オリンピック前後」とか「女子バレーボールの大松監督」などとあるから、…

岡田暁生「クラシック音楽とは何か」(4)

クラシック音楽とは何か、という問いに、仮に答えて、それはベートーベンのことである。あるいはベートーベンの作曲した音楽のことであるとしてみよう。 吉田健一の「文学の楽しみ」の第7章は「西洋」と題されていて、そこに岡倉天心がベートーベンの第五を…