2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

言語と国境線

林達夫氏が敗戦後のアメリカ占領下で書いた「新しき幕開け」という文に以下のようなところがある。「あの八月十五日の晩、私はドーデの「最後の授業」を読んでそこでまたこんどは嗚咽したことを思い出す。」 この「最後の授業」は仏独国境で当時はフランス領…

壁と卵

文学の世界ではかなり権威のある賞であるらしいエルサレム賞というのがあり、2009年には村上春樹が受賞している。村上氏はそれでエルサレムに出かけ、受賞演説をした。しかし、ここではひと悶着があった。というのは、そのころイスラエルからのガザ地区…

渚にて

確かわたくしが中学に入ったばかりに上映されたアメリカ映画である。調べてみると1959年に上映とあった。白黒映画という今ではまずない、印象としてはとても地味な映画だった。 内容は東西冷戦下、第三次世界大戦が勃発し、核弾頭の打ち合いで北半球は壊…

読んで来た本(7)科学哲学

科学哲学に接するようになったきっかけははっきりしている。1980年から出版された岩波書店の叢書「文化の現在」の「喜ばしき学問」というのを買ったことである。何で買ったのかは思い出せない。このころ目にすることが多かった阿部謹也さんの文を読もう…