本棚の本

 渡部昇一氏の本

この前のエントリーで在野の知識人の一人として今年の四月になくなった渡部昇一氏にも言及して、そういえば氏の本もかなり読んでいるなあとあらためて思い出した。 知的生活の方法 (講談社現代新書)作者: 渡部昇一出版社/メーカー: 講談社発売日: 1976/04/23…

山本七平ライブラリー(7)「ある異常体験者の偏見」の福田和也氏の解説

文藝春秋 1997年 本棚を整理していて奥からでてきた「山本七平ライブラリー」の解説を拾い読みしていてこの巻の福田氏の解説が目についた。 福田氏はいう。欧米から来る日本の社会や文学の研究者には山本七平の著作を読むことを勧める、山本を読まずして…

山本七平「私の中の日本軍 上・下」」文藝春秋 昭和50年11月・12月刊 (二回目のとりあげ)

実はこの本は2年半前くらいにも一度とりあげている。今回、年末に少し本棚の整理をしていたら、この間に新しい本に押しやられて奥のほうに隠れていた本の中から「山本七平ライブラリー」(文芸春秋)がかなり揃いででてきた。全16巻だが、第13巻「日本…

呉智英「危険な思想家」 メディアワークス 1998年

危険な思想家 (双葉文庫)作者: 呉智英出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2000/11メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 86回この商品を含むブログ (62件) を見る 今、鹿島茂氏の「ドーダの人 小林秀雄」の感想を書こうかと考えている。ところで鹿島氏といえば吉本…

司馬遼太郎「風塵抄」

中央公論社 1991年風塵抄作者: 司馬遼太郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/10/20メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 最近、本の整理がどうにもならなくなってきて、しかたなく、少し整理をしていたら、棚の奥からこの本がでてき…

加藤典洋「アメリカの影」 1985年 河出書房新社

加藤氏の近著「戦後入門」を読み、少し感想を書いてみて、なんとも消化しづらい異物感のようなものが残り、はて感想を続けたものだろうかと思い、氏が「戦後入門」の先行作としている「アメリカの影」と「敗戦後論」を本棚からだしてきた。20冊くらい、加…

山崎正和「歴史の真実と政治の正義」

歴史の真実と政治の正義作者: 山崎正和出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 五連休のときに少し本棚を整理していたら棚の奥からでてきた。買ったことすら覚えていないし、読んだかどうかも覚え…

吉川洋「高度成長」(5)「高度成長とは何だろうか」

1980〜90年の日本は「バブル景気」であったが、その後の「失われた10年」以降、低成長の時代あるいは成長なしの時代となっている。1950年代とくらべて1994年にはGNPは10倍になっているので、1%の成長が50年代の10%の成長を意味…

吉川洋「高度成長」(4)第7章「成長の光と影」― 寿命と公害

本章は高度成長はよいことばかりではなかったとして、光としての「寿命の延長」と影としての「公害」を論じる。 2009年の時点で、日本の平均寿命は男80歳、女86歳。男女平均の83歳は世界一。その時点で隣の中国は74歳、ロシア62歳、インド65…

吉川洋「高度成長」(3)「右と左」:追記 渡辺京二「幻想の明治」のなかの「鑑三に試問されて」

昨日のエントリーで、『60年代の左派とその流れのなかの学生たちは「黙示録」の夢を追っていたのであろう。』などと書き、ロレンス「黙示録論」の「ユダヤ教終末観より現実世界の腐敗堕落を侮蔑否定し、不当に蒙っている現世の悪と不幸とから逃避せんとす…

吉川洋「高度成長」(3)「右と左」

第6章は「右と左」で、高度成長前後の政治の部分を論じる。 1960年、日米安保条約改定で岸内閣が退陣した後継の池田勇人首相は「所得倍増計画」をかかげ、ここから本格的な高度成長がはじまる。岸内閣までが政治の季節で、池田内閣以後は経済の季節に変…

吉川洋「高度成長」(2)「高度成長のメカニズム」

第5章は「高度成長のメカニズム」である。日本のある時期に高度成長ということがおきたことは事実であるとして、それがなぜおきたのかは様々な説明が可能なはずで、本書のそれはもちろん吉川氏からみた説明である。 1)高度成長の背後にあったものは生活の…

吉川洋「高度成長」(1)

高度成長―日本を変えた6000日 (20世紀の日本)作者: 吉川洋出版社/メーカー: 読売新聞社発売日: 1997/03メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る高度成長 (中公文庫)作者: 吉川洋出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/04/21メ…

「ポストモダンの行方」(「渡辺京二評論集成3「荒野に立つ虹」所収、渡辺京二コレクション[2]民衆論「民衆という幻像」にも所収)

この「ポストモダンの行方」は長崎大学において1988年におこなわれた学生への講演の記録である(後で加筆はされているらしい)。ちくま学芸文庫版で37ページほどの分量の30年近く前におこなれた講演ということになる。とすると、わたくしが40歳過…

渡辺京二対談集「近代をどう超えるか」(2)

弦書房 2003年 この対談集には、7人との対談を収めるが、榊原英資氏と中野三敏氏との対談は(1)でとりあげたし、また岩岡氏との対談「石牟礼文学をどう読むか」も一部論じたので、ここでは、大島仁氏との対談「9・11とグローバリズム」、森崎茂氏…

渡辺京二対談集「近代をどう超えるか」(1)

弦書房 2003年 最近、思うところがあって、渡辺京二氏の本を少し読み返すことをしている。数えてみたら本棚には20冊ほど氏の本があった。手始めにまず、この対談集から。 榊原英資氏との対談「“江戸の平和”とグローバリズム」 榊原:江戸250年の平…

渡辺一夫「敗戦日記」 博文館新社 1995年

渡辺一夫 敗戦日記作者: 渡辺一夫,串田孫一,二宮敬出版社/メーカー: 博文館新社発売日: 1995/11メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を見る 今、ドナルド・キーンの「日本人の戦争 作家の日記を読む」をちょこちょこと読んでいる。副…

丸谷才一・山崎正和「二十世紀を読む」

中央公論社 1996年 「21世紀の資本」などという本を買ってきたためか、何となく20世紀を論じた本が気になって、橋本治さんの「二十世紀」とか何冊か本棚から取り出してぱらぱらと見てみた。この本は1996年の刊行で、買った当時一部は読んだ記憶…

R・E・ニスベット「木を見る西洋人 森を見る東洋人」

ダイヤモンド社 2004年 この本は2004年刊行だが、当時は買ったまま結局読まずにいて、そのまま本棚で眠っていた。思い出したのは橘玲氏の「(日本人)」で本書について言及されていたためで、それで読んでみることにした。 「(日本人)」で橘氏がニ…

山本七平の初期の陸軍もの〔「私の中の日本軍」(上下)、「ある異常体験者の偏見」、「一下級将校の見た帝国陸軍」〕

「ある異常体験者の偏見」は昭和48年から49年にかけて「文藝春秋」に連載されたものが昭和49年(1974年)5月に文藝春秋社から出版されている。 「私の中の日本軍」は「諸君」に連載されたものらしいが本書中にはいつからいつまでの連載という記載…

P・C・ディヴィス「ブラックホールと宇宙の崩壊」

岩波現代選書 NS 1983年 この本を取り上げるのは二度目。今回これを思い出したのは、雑誌「考える人」最新号の特集「数学は美しいか」での「私が世界で一番美しいと思う数式・証明」で竹内薫氏がカントールの「対角線論法」をあげていたのを読んでであ…

吉田健一の文庫本

いつの間にか、本棚の吉田健一の文庫本が30冊近くになっていた。単行本や全集、集成などで持っている本ばかりだし、仮名遣いが現代仮名遣いになっているので、本当は買う必要はないのだが、それに付されている解説を読むのが楽しみで買っている。文庫の解…

中村光夫「戦争まで」

昭和46年集英社刊。浅黄色?の布の装丁で、表表紙に「戦争まで 中村光夫」と書いた紙が張ってある。箱入り。装丁は岡鹿之助。 この本は1942年、51年、60年の3回刊行されていて、この1971年刊は決定版ということらしい。「あとがき」に「ここ…

新潮社版「小林秀雄全集」

昭和42年(1967年)ごろ刊行の全12巻で刊行された全集。編輯 大岡昇平 中村光夫 江藤淳。 全集ではあるが、今みてみたら1・2・3・4・8・9・11巻だけしか持っていなかった。なんでこんな巻だけ買うことになったのか覚えていない。第一巻の定…

筒井康隆「みだれ撃ち涜書ノート」

集英社 1979年 約150冊の本の書評や解説を集めたもの。1979年初版だが、わたくしが持っているのは、1980年刊の第3刷。山藤章二装丁。 評の長短はさまざまで、3年半にわたる感想なので、八日間で一冊、不勉強といわれるかもしれないが、しか…

日高敏隆さんのいろいろな翻訳

1980年代に読んだ宇宙論とか数学の話を前回とりあげたが、そのころ読んだ生物系の本は圧倒的に日高敏隆さんの訳本が多かったことを本棚をみてあらためて感じた。 まずA・ケストラーの「機械の中の幽霊」。おそらくいわゆる「反還元論」「全体論」「ホー…

柳瀬睦男「現代物理学と新しい世界像」

岩波現代選書NS 1984年 昨日とりあげたデイヴィスの「ブラックホールと宇宙の崩壊」の本棚のとなりにおいてあった。1984年の出版で、その当時の理論物理学の論点をきわめて真摯に論じているのだが、やはりカントールだとか「クレタ人の嘘」の話が…

D・R・ホフスタッター「ゲーデル、エッシャー、バッハ」

白揚社 1985年 昨日のエントリーでゲーデルの不完全性定理などと書いていて、この本を思い出した。 ハード・カバーのかなり大型の本で700ページ超の大冊である。1985年出版で4800円となっているから、今だとどのくらいの定価になるのだろうか…

P・C・W・デイヴィス「ブラックホールと宇宙の崩壊」

岩波現代選書NS 1983年8月 昨日の皆既月食で思い出したわけではないが、30年近く前に読んだ本である。岩波現代選書の一冊であるから新書版よりやや大きい、どうということのない装丁の本である。 著者のディヴィスはアメリカの物理学者にして科学ラ…

E・ウォー「ブライズヘッド ふたたび」

この前の日曜日に胆石発作をおこし、来月、手術することになったので、さて病室にどんな本を持ち込もうかと思い、その候補の一つとして、これを本棚からとりだしてぱらぱらと見ているうちに、面白くなり、もう四分の一ほどは読みかえしてしまった。入院前に…