本棚の本

E・ウォー「ブライズヘッド ふたたび」

この前の日曜日に胆石発作をおこし、来月、手術することになったので、さて病室にどんな本を持ち込もうかと思い、その候補の一つとして、これを本棚からとりだしてぱらぱらと見ているうちに、面白くなり、もう四分の一ほどは読みかえしてしまった。入院前に…

倉橋由美子「城の中の城」

新潮社1980年刊。黒い布装の本にクリムト風?の絵(装画 山下清澄 とある)をあしらったカバー。この小説の先行作である「夢の浮橋」がパラフィン装のしゃれた造本で箱入りであったのに較べると普通の本となっている。「夢の浮橋」が刊行された1971…

林達夫「共産主義的人間」

中公文庫の昭和48年(1973年)刊行。カバーもなくなっているし、背表紙もこわれかかっており、酸性紙のためかページもだいぶ黄ばんでいるが、何回も読んだ形跡がある。 わたくしの記憶では、これが林氏の本を読んだ最初なのだけれども、書架にある筑摩…

丸谷才一「梨のつぶて」

晶文社から1966年刊に刊行されている。黒い箱に入ったクリーム色の装丁の本で、丸谷氏の最初の文芸評論集である。(講談社文芸文庫の「日本文学史早わかり」に付された著書目録によれば、この前に「深夜の散歩」という著書が刊行されているが、これは確…

河上徹太郎「有愁日記」

いま、河上徹太郎の本を読むひとがはたしてどのくらいいるのだろうか? わたくしも、吉田健一のお師匠さんでなければ読んでいなかった可能性が高いように思う。 この本は昭和45年(1970年)春の刊行にされたもので、前年の「新潮」の1月号から12月…

渡部昇一「知的生活の方法」

1976年初版の「講談社現代新書」の一冊である。わたくしが持っているのは1979年刊行の第26刷だから30歳過ぎに読んだことになる。刊行当時から評判は聞いていたのだが、絶対に読むものかと思っていた。「知的生活」という言葉に反発していたので…

G・ベイトソン「精神と自然」

「精神と自然」を読んだのが何をきっかけであったのかは覚えていない。わたくしがもっているのは1982年11月刊行の最初の単行本であるので、それよりは後であることは確かで、その頃は本を読むと読了した日を本の裏扉に書きつけることをしていて、それ…

M・ミッチェル「風と共に去りぬ」河出世界文学全集・別巻

実はこの本はなくしてしまってもう手許にはない。読んだのは1960年、中学一年のころで、その頃刊行されていた河出の世界文学全集の別巻。全集はグリーンの表紙のものだったが、別巻(確か、この「風・・・」だけの3冊であったように記憶している)だけ…

三島由紀夫「豊饒の海」

三島由紀夫の本で最初に読んだのが何だったかはもう覚えていないが、あるいは「豊饒の海」第一巻の「春の雪」だったような気もする。これは1969年の1月に刊行されていて、刊行と同時に読んだ。第二巻の「奔馬」も翌2月の刊行であるからほぼ同時刊行で…

新潮社版「福田恆存評論集」

昭和41年から42年にかけて新潮社から刊行された。全7巻の評論集である。グリーンと白のツウトーンカラーのなかなか洒落た造本である。簡易な函入り。 福田氏の本を読みだしたきっかけははっきりしていて、すでに書いたと思うけれど、吉本隆明氏のたしか…

原書房版「吉田健一全集」

最近、以前読んだ本をとりだしてみる機会が多くあった。それではじめて読んだばかりの本についてのみ備忘録として書いていくのではなく、ときどきは以前に読んだ本についても、本棚から取りだして何か書いてみるのもいいかなと思った。 それで最初が、原書房…