本棚往還

 橋本治「知性の顚覆」(5)

第3章は「不機嫌な頭脳」と題されている。 橋本氏は、自分には上昇志向がないという。それは「東京生まれの東京育ち」であり、特に貧しくはない家庭に育ったからであるという。 東京の山の手は近代日本の中核となるような中流階級の本拠地であり、近代市民…

 橋本治「知性の顚覆」(4)

「近代の顚覆」の第2章は「大学を考える」というタイトルである。ではあるが、大学一般が論じられるのではなく、橋本氏の経験した「大学闘争」についての議論が終始展開される。ところでそれについて氏は「私自身はそれがどういうものか分からなかったので…

 橋本治「知性の顚覆」(3)

さて、橋本氏によれば「ヤンキー」とは「経験値だけで物事を判断する人達」で、それに対するものは「すべてを知識だけでジャッジする人」で「大学出」である。 わたしが若いころ、進歩的文化人という言葉があった。自分のことを進歩的文化人と自称するひとは…

 橋本治「知性の顚覆」(2)

今日、書店にいったら「石牟礼道子」という本があって、巻末の文献をみていたら、当然のことかもしれないけれども、渡辺京二さんの本がたくさん並んでいる。しかし、知らない本もたくさんあって、渡辺さんはまだ旺盛に本を出しているのだなと思い、書店めぐ…

 橋本治「知性の顚覆」(1)

今年1月で70歳となって、だんだん根気がなくなってきたというか、同じ本を延々と論じていく気力が乏しくなり、感想を書きかけで中断してしまっているものが増えてきている。 ある本を読んでいると何か以前読んだ本とのかかわりがあるように思えてきて興味…