(完)進化論
「ウェブ進化論」を読んでいて気持ちがいいのは、著者のこれからの世代への目が温かいことが関係しているように思う。最近の世論を見ていると若者にきびしく、また若者の方でも未来に展望を見出せないでいるというような報道が多い。
わたくしの友人で大学で教えている人間にきいても、トップ層のレベルはそれほど変わりないが、真ん中以下の学生のレベルは10年前にくらべると明らかに低下しているという意見が多い。知的レベルも低下しているというのである。
本書を読むとそうではなくて知的レベルも前の世代を凌駕しているという。
梅田氏が「ウェブ進化論」というタイトルをつけたのは、世代交代によるWeb1.0からWeb2.0への変化という主張をあらわしたものであろうと思うが、ここでの進化論という言葉は、もう少し広い意味合いがありそうである。
進化論が意味するものは、未来が未確定であるということである。みながいろいろな試みをしていく。どの試みが意味があるのかは事前にはわからない。それは時間がたってみてはじめて結果として明らかになる。そのために必要なことは、とにかく多くの試みがなされることである。
Web2.0の時代になって、Webがさまざまな試みをみんなに評価してもらう仕組みとして非常に有効な道具となってきているということである。
本当は梅田氏は若者を扇動しているだけなのかもしれない。とにかくやってみろよ、結果を公平に判断してくれる仕組みはできているのだから、挑戦してみろよ、元気をだせよ、と。
わたくしも梅田氏の扇動で若者たちが日本と世界をどのように変えていくのか、あと20年ほどは生きて見守っていきたいなというような気になった。
そのような気持ちにさせてくれた梅田氏に感謝したい。
それでわたくしも梅田氏の扇動にのってBlogをはじめてみようかという気になった。今、準備中である(ここでの日記を移植中)。
どこではじめてもいいのだが、梅田氏に敬意を表して「はてな」でやってみることにした。この「ウェブ進化論」は「はてな」の宣伝物としても非常に有効に機能しているのではないかと思う。梅田氏の論に反して、紙媒体のメディアもなかなかまだその宣伝効果は捨てたものではないのかもしれない。それにしてもブログが無料で作れてしまうのだから、チープ革命というのがいかにすさまじいものであるのかがわかる。
この「ウエブ進化論」感想を書いている途中(ブログについて書いているあたり)で、著者の梅田氏がこの日記にアクセスしておられるらしいことに気がついた。氏もmixiのメンバーらしい(この文章は最初、ソーシャル・ネットワーキングの一つであるmixiの中の日記の記事として書いた)。「ウェブ進化論」についての議論を収集しているだけで、読まれてはいないのかもしれないが、もし読まれているとすれば、いろいろと失礼なことを書いた点、お詫びしたい。 とりあえず、「ウェブ進化論」の感想は完とする。
- 作者: 梅田望夫
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