今日入手した本

音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか

音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか

 偶然、書店でみつけた。著者はアマチュアロックバンドをくむかたわらレコード・プロデューサーである一方、認知心理学者でもあるという面白い人で、認知神経科学の観点から音楽を論じている。ちらっとみた印象ではきわめて真っ当な本のようである。音楽の知覚や認知を研究してる研究者は世界で250人ほどもいるのだそうである。本書はピンカーの「音楽は知覚のチーズ・ケーキ」説に異をとなえるものであるらしい。ある音程にたいして反応する脳の部位は特定されているが、その音程を協和しているとか不協和であるとか感じる部分は特定されていないらしい。ではあるが、この方面の脳科学も随分と進んでいるらしい。
 
隣の病い (ちくま学芸文庫)

隣の病い (ちくま学芸文庫)

 買ってきてから気がついたのだが、これはすでに刊行されている「精神科医がものを書くとき」(1・2)の抜粋らしい。同じちくま学芸文庫ですでに「精神科医がものを書くとき」が刊行されているが、それと本書で以前の「精神科医がものを書くとき」(1・2)の大半をカバーするということらしい。だが、かなり大きな編集作業により2分冊にしたらしいので、収録の順番などはまったくあたらしくなっている。
 実は「精神科医がものを書くとき」(1・2)はすでにもっていて、例によって、買ってきただけで安心し、数編を読んだだけであとは本棚の肥やしになっていた。この中の「日本人がダメなのは成功のときである」はそのときにすでに読んでいたように思う。その一節、「敗戦は日本人を正気にさせた。」 天谷直弘氏も同じようなことをいっていた。バブルの頃の日本人はダメになっていたのである。最近の日本人はすっかり自信を失っているから、「ダメだと思っているうちはまあまあ大丈夫」なのかもしれない。しかし、「雇用の維持は非常に重要である。若年失業者を大量につくれば「安全」の前提が崩壊する。若い時に労働を経験しなかった健康人の大群は社会の非常な不安定要因である。戦後の大学は潜在失業者の吸収に非常に有効であり、父兄負担でより高学歴の働き手として社会に出す機能を持っていた。しかし、その吸収力は無限ではない。」 この「日本人がダメなのは成功のときである」は1994年に書かれている。