まだちらっと読んだだけだけれど、今一つ読みごたえのある文が見当たらない。それよりも、
週刊文春に丸谷氏が書いている、
辻原登氏の「
東京大学で世界文学を学ぶ」についての書評のほうが面白かった。それで今、その該当すると思われる第八講義「物騒なフィクション」という
ラシュディの「
悪魔の詩」を論じた部分を読んでみたところ。かなり図式的な
ポストモダン的文学論という気もするが。
吉田健一もまた
ポストモダンの人だったであろうか?
ポストモダンの側がいうモダンとは20世紀のヨーロッパのことなのだろうか? それとも19世紀から20世紀まで一括してすべてモダンにはいってしまうのだろうか? ここでの辻原氏の論をそのまま受け入れると、
アメリカはまだ近代化していない国ということになる気がする。ここで辻原氏は明治以降の日本が「偽のヨーロッパ」であるといっている、吉田氏は19世紀ヨーロッパが偽のヨーロッパであるとしていた。われわれが明治期にそれこそがヨーロッパであると思ったものが実は例外的なヨーロッパであったということなのだが。
全集1を買ったので。5もあったがゆっくりとそろえていくことにする。
高橋源一郎さんがほめているだかけなしているのだかわからない「解説エッセイ」を書いているが、「ワインレッドの
夏至」という詩集の中の一編を紹介して、「何だか弛んでるなあ」と思うひともいるかもしれない、といっている。ここに収められた散文も、「1」におさめられたものに較べると、何だか弛んでるなあと思う。こういうのを芸というのかもしれないが・・。