今日入手した本
人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)
- 作者: 近藤宗平
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/18
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世界の放射線被曝地調査―自ら測定した渾身のレポート (ブルーバックス)
- 作者: 高田純
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/01/18
- メディア: 新書
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核災害からの復興―広島、チェルノブイリ、ロンゲラップ環礁の調査から
- 作者: 高田純
- 出版社/メーカー: 医療科学社
- 発売日: 2005/03
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核災害に対する放射線防護―実践放射線防護学入門 (高田純の放射線防護学入門シリーズ)
- 作者: 高田純
- 出版社/メーカー: 医療科学社
- 発売日: 2005/06
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お母さんのための放射線防護知識―チェルノブイリ事故20年間の調査でわかったこと (高田純の放射線防護学入門シリーズ)
- 作者: 高田純
- 出版社/メーカー: 医療科学社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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放射線医学をにわか勉強している。ここに挙げた本は、以前に出版されたものが時節柄、再版されたり、在庫からひっぱりだされてきたものであろうが、今度の原発事故の前に書かれたものであるから、もしもその内容が事故のあとにいわれることと食い違っていたりしたらまずいことになるわけで、著者があえて再版に応じているのであるから、その内容について自信をもっているということなのであろう。
高田氏の名前は4月21日号の「週刊新潮」に、「「暴走原発」正面で涼しい顔の「札幌医大」教授の良識」という記事ではじめて知った。放射線量を測定する機器を持参していろいろな地点での測定をして、最後に福島第一原発正面ゲートの前で普段着のまま測定し、そこも問題ない線量であり、炉心近くは別としても、原発の外、人家のある辺りでの健康被害はまず考えられません、と語っていた。面白い人がいるなあ、と思って記事を読んだ。ここに買ってきた本はまだ十分に読んだわけではないが、「世界の放射線被曝地調査」の「ヤマーク・プルトニウム製造企業体周辺での核災害」というあたりを読むだけでも本書を入手する価値はあるのではないかと思う。わたくしはヤマークなどという地名さえ聞いたことがなかったが、旧ソ連のプルトニウム製造施設があったところなのだそうで、事故でチェルノブイリの20倍という放射能が放出されたのだそうである。これは1993年にロシア政府によってはじめて公表されたということであるが、そういうところに測定器を持参して実際に計測してくるという地味な作業を続けているひとのようである。理論ではなく、事実を示したものとして、書いてあることには信憑性があるように思う。
ただこれは高田氏のことをいうわけではないが、一般に放射線の障害をあまり怖がる必要なないというひとは、原発事故の可能性を低く見積もり、放射線は非常に怖いといいつのるひとは、原発は危険極まりないいつ事故がおきても不思議はないものとする傾向があるように思う。本来、両者は無関係で独立した事象であるはずなのだが。
コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる (講談社+α新書)
- 作者: 浜崎智仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/02/22
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本書によれば、正統派である動脈硬化学会(「コレステロールは動脈硬化とくに冠状動脈の危険因子であり、低い値に保つべきである」派)がなぜ、そのような主張を続けているのかといえば、それはコレステロールを低下させる薬を売っている製薬会社との癒着のためであるという。まあ、そのようなことがないとはいえないだろうと思うが、わたくしはその最大の原因は、コレステロールを下げれば冠状動脈硬化が防げるはずだという信念が最初にあるからではないと思う。今日汎用されているスタチン系といわれる怖いくらいにコレステロールが下がる薬は、わたくしが医者になった当時はまだ存在していなくて、イオン交換樹脂のようなきわめて使いにくい薬しかなかった。その後、プロブコールがでてきたが、大した低下効果がなかった。しかし、その頃にも脂質代謝の研究は着々とおこなわれていたわけで、その研究が示唆するところによればコレステロールを低下させれば動脈硬化を予防できるはずであった。ただ、それを可能にする薬がなかった。そしてようやく画期的なスタチン系の薬剤が開発された。そうであれば、これを用いれば冠状動脈硬化に基づく疾患の予防が可能になるはずであり、そうでなければならなかった。つまり演繹的にはそうならなければいけなった。
そういう前提があれば、治療した結果、冠状動脈硬化を予防できたという結果は正しい結果であり、そういう効果を示せなかったデータはどこかおかしいものとされてしまう。そういうことなのではないだろうか? つまり帰納的に事実を見るのではなく、演繹的な理論を守るということが行われているのではないだろうか? もしもコレステロールを下げても冠状動脈疾患が減らないのであれば、この50年の脂質代謝研究は何だったのだろうかということになってしまう。
わたくしには動脈硬化学会と脂質栄養学会の主張のどちらが正しいのかはわからない。しかし一般にいわれているほどコレステロールを低下させることの意義は大きくなのではないかと思っている。これは微量の放射線被曝が将来の健康にあたえる影響についての議論にも通じるところがあると思う。将来のごくわずかな危険の増加をどのように評価するかという問題である。コレステロールを下げることに意味がある患者もあるのだろうと思う。だからコレステロール降下剤に意味がないとは言えないにしても、それだから、ちょっとでも高いひとは下げたほうがいいということにはならないはずである。それらなば、どのくらいの程度から治療介入したらいいのか? それについてさまざまな意見がでてくるということは、治療介入がだれにでも納得できるほどの効果はないのだということを、なによりも雄弁に示しているとするのが、常識的な判断なのではないだろうか?