その1 はじめに

 
 昨日でなんとか管理職を卒業することができた。別にこれから働かなくなるわけではなく、相変わらず仕事は続けるが、あとは一兵卒として働けばいいのでだいぶ気楽になる。養老孟司氏は東大教授をやめたとき、まわりの景色が変わってみえたと書いていたが、それは宮仕えを終えたからで、管理職ではなくなっても宮仕えはまだ続くわけであるから、それほどの解放感は残念ながらない。しかし、じわじわとでてくることを期待したい。
 これを機会に読書の備忘録ではない雑文も時々書いていこうかと思う。
 これまで、もっぱら読んだ本の記録ばかりを書いてきたのは、わたくしの頭は本を読むことをしないと動きださないからであるが、一人の人間がある本を読んでこんなことを考えたというのは同じ本を読むひと、あるいは読もうかと思っている人に何かの参考になるかもしれないとは思っている。少なくとも、本の編集者のかたには、ある本を読んでいる人間がどういう経路でその本にたどり着いたか、あるいはその本をどういう本との関連で読んでいるかの情報は、時には役立つこともあるかと思う。
 それよりも何よりも、これは自分のための備忘録で、こういう記録を残しておいたおかげで、読んだことさえ忘れていた本を思い出すことも少なからずある。自分のためで、ひとのことなど考えていないから、備忘の記録がどんどんと長くなる一方であるのは困ったもので、あとから自分で読み返すのさえ大変である。そしてたまに読み返すと、誤字脱字の山であることに閉口する。これから時間ができたら、少しづつ、訂正修正はしていきたい。
 ということで、この欄では、本にまつわることでない話題を、なるべく短く、目標は400字詰め2枚以内で書いていくことにしたい。つまり、このくらいの長さである。