その5 お勉強・その3

 
 4月から開始したお勉強生活の第3回目。
 朝日カルチャーセンターでの許光俊氏による「世界最高のピアニスト」という単発の講義。氏の「世界最高のピアニスト」という単行本(光文社新書 2011年)が面白かったので聞きにいってみた。この本ではファジル・サイというピアニストとケンプの「バッハ小品集」というCDを知った。感謝である。本を一冊読んで、そこで何か読むに足る別の一冊の本を教えられることがあれば、その本はもとがとれたことになる。だからこの「世界最高のピアニスト」ももとがとれた本である。サイはあと二月ほどで来日して演奏会をひらくので、聴きにいく予定である。この許氏の本を読んでいなかったらその演奏会にいくことも考えなかったであろう。管理職をおりたので、これから少し音楽会も多く聴きにいくようにしたいと思う。これはお勉強ではなく純粋に楽しみとしてであるが。
 そういことで、お勉強というより許氏の顔を見にいったようなものであるが、予想外にシャイなひとであった。本で読んでいると「世界は滅びたっていい!」と嘯くニヒリストといった感じなのだが、ひょっとするとこれは音楽業界で生きていくための意匠であるのかもしれない。シャイであるのと関係があるのかもしれないが話があまりうまくない。この人も大学教授であるはずなのだが・・。文章を書くのに向いているひとと、話すことに向いているひとがいるのであろう。あるいは夜に頭が活性化するひとと、昼に頭が働くひとであるのかもしれないが。
 わたくしがそう感じた一つの理由は、取り上げられた曲の多くがショパンのものであったということが関係しているかもしれない。ショパンがどうも苦手なので、ショパンの話では乗れないのである。全然ダメということではなくホロビッツカーネギーホールでの復活演奏会でのショパンなどには痺れるのではあるが。こと音楽に関してはわたくしは基本的にはドイツ系の大言壮語系のものが好きなようである。
 生徒?は20名ほど。高齢のかたが多い。日本におけるクラシック音楽の世界は縮小し、衰微しつつあるのかもしれない。
 

世界最高のピアニスト (光文社新書)

世界最高のピアニスト (光文社新書)