その8 八日間の休み

 
 今日で連続8日の休みが終わりである。今までは夏休みがこのくらいの長さで、しかし夏休みというと何かしなくてはいけないような気がして、中途でどこかに出かけたりすると、あとは前後に数日の休みがあるだけとなる。今回の連休は自分がとった休みではなく、自然にできた休みなので、特に計画もいれないでいたら、ほとんど何もしないままで過ぎてしまった。医者になってから一番長い何もしない日々であったかもしれない。外来日が月木金で、火水はそとにでているのだが、そこがうれしいことに休みであったので、連続8日の休みをとることができた。しかし、過ぎてしまえばあっという間である。
 3月末に管理職を引いたが、4月からあたらしいことをはじめたりもしたため、結構あわただしく過ごしていたので、まあちょうどいい骨休みになったのかもしれない。しかしいいことばかりではないので、明日からの一週間の外来が地獄である。2週間分の患者さんが1週間に集中する。予約をみてみたら、一時間に20人の予約がはいっている時間帯があった。どうあがいても一時間15人が限界だから、無理である。キャンセルがでることを祈るばかりである。
 少し時間ができたら本の整理をしようといつも思うのだが、思うだけで終わる。それでも机のまわりに積み上がった本だけでもと少し片づけていたら、何冊からの本が下からでてきた。山崎正和氏の「世界文明史の試み」、T・イーグルトン「批評とは何か」など。ついでに目についた「吉田健一全短編集」の最初の2篇「逃げる話」と「マクナマス氏行状記」をまた読んでしまった。実にけったいな小説である。特に前者。