今日入手した本
- 作者: 片山杜秀
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: 単行本
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片山氏の本は音楽評論のほうはいろいろと読んでいるが、本職?の思想史のほうは以前に「日本思想という病」という本のなかの
「中今・無・無責任」が大変面白く感想を書いたことがあるが id:jmiyaza:20100406 、まとまった著書は読んでいなかった。今回の本は「中今・無・無責任」を敷衍したもののようである。
わたくしはまったく無知というか不勉強というかで、第一次世界大戦を日本はほとんど無関係というか高見の見物で過ごしたと思いこんでいて、それがその後の日本の歴史に大きな影響をあたえたのではないかと漠然と考えていたのだが、いま「お勉強」中の明治大学の講座で海軍が英国の輸送船団の護衛に参加したことを知り、またこの「未完のファシズム」の巻頭に陸軍が青島戦役でドイツ軍と対峙しきわめて合理的な闘いでそれを粉砕したことが記されていているのを見て、考え直さなければいけないのかなあと思っている、しかし、劈頭に紹介される小川未明や徳富蘇峰の言からみても、第一次世界大戦については日本が他人事として過ごしたこともまた間違いないようである。
太平洋戦争での敗戦と疲弊から朝鮮戦争の特需によって日本が立ち直ったことを一種の原罪意識のように語るひとは多いが、日露戦争の疲弊から第一大戦の特需によって日本が立ち直ったことについてはそういう言い方をするひとはあまりみないように思う。これまたなぜなのだろうかと思う。
多くのひとがそうではないかと思うのだが、わたくしも明治以来の歴史をみるときに司馬遼太郎史観に影響されている部分が随分と大きい。それに対する批判的な見解が最近多くでてきているが、本書もまたその一つのようである。
いずれ詳しい感想を書くつもり。