今日入手した本

 新聞の書評欄は、少なくとも朝日新聞毎日新聞では毎日のほうが優れていると思って、それで日曜だけは毎日にも目を通すようにしている。
 毎日の書評欄「今週の本棚」を作ったのは丸谷才一氏らしく、そこでの書評を集めた本である本書の巻頭には「三ページ書評欄の二十年」という氏の自慢話がある。要するに、それまでとは違ってもっと長い書評を収載するようになったということである。たしかにこれは氏の功績かもしれなくて、朝日新聞なども毎日に追随したようである。
 いわゆる「文芸時評」で一回分で一冊あるいは極端な場合には二日で一冊という形式をはじめたのは石川淳だと思うが、これはすでにすたれてしまった。以前のような文芸雑誌に発表された小説のこまぎれ評の集まりに戻ってしまった。
 そうすると、確かにこの丸谷氏のはじめた、新聞でのある程度の長さの書評欄が20年も続いたことは慶賀すべきことなのかもしれなくて、ことによると丸谷氏の業績で一番後世に残るのは小説でも批評でもなくて「今週の本棚」欄の創設であるかもしれない(「笹まくら」と「梨のつぶて」と「後鳥羽院」などは残ると思うが・・)。
 本書は1992年から1997年までの書評を収載している。1998〜2004、2005〜2011年のものが続刊と予告されている。
 ここでは600冊くらいが紹介されているが、読んでいたのは50冊ほどであった。多いのか、少ないのか?