今週の「週刊朝日」の記事

 
 今週の週刊朝日の記事に「医師会が認めない 製薬業界が公開する医者のカネ」というのがあった。なんでも2011年に日本製薬工業協会がつくった「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」とういうのがあるそうで、製薬会社が医療機関や医師に提供した費用などを公開しようというもので、研究費開発費等、学術研究助成費、原稿執筆料等、情報提供関連費、その他の費用にわかれていて、接待費はその他の費用なのだそうである。
 本来なら5月に公開されるはずのものが、医師団体の反対によって延び延びになっていたが、最近ファイザーという会社が公開にふみきったという記事である。ファイザー一社で、研究開発費などが116億円、原稿執筆料などが11億円と記事にはあった。ちなみに今ファイザーのHPで見てみたら接待費も億を超えていた。当初、原稿執筆料などは執筆者個人の名前で出すことになっていたが、それは医者の団体の反対で少なくとも来年までは見送られたらしい。なぜ反対するのか? 製薬会社の宣伝をする原稿を書いてもらった原稿料ならば当然公開されるべきである。しかし特定の薬をとりあげているわけではない一般的な啓蒙用の原稿までも公開するのはいかがなものかということらしい。だから来年以降に個人名を公開するのであれば、宣伝用の原稿のみに限るべきであるというという主張を医師会はまだ続けているらしい。日本医師会の常任理事いわく「情報を利用するのは、たいてい悪意のある人。教授選でゴシップのネタに使われたり、子どもが誘拐されたり、あらぬ心配をしなくてははならなくなる。これでは、産学協同はうまくいなかなくなる。」 どうして製薬会社からの原稿料とか講演料が公開されると子どもが誘拐されることになるのだろうか? こんな寝ぼけたことを言っていると医師会も民主党のようになってしまうぞと思うのだが、今度の選挙で医師会の上のほうのかたが自民党からしっかりと当選しているようである。
 製薬業界がなんでこのようなことをしているのかというと、記事によれば、製薬会社としては医師に払いすぎているという意識があり、各社のデータが公開されれば他社の低い支払額のほうを示して、どうもうちは他社よりも突出しているようで、このご時世ですので、他社と合わせるようにさせていただきますということができるようになり、製薬業界全体での資金提供額をおさえられるという期待があってのことらしい。
 わたくしとしては、最近のディオパン騒ぎをみて、ノヴァルティス社から京都府医大への研究費とか助成金とかがどうなっているか見てみたいと思うし、そこの教授とかにどの程度の原稿料とか講演料とかが支払われているかわかると面白いと思っているわけである。破格な原稿料といったことがあるのではないかと邪推している。つまりわたくしは悪意があるわけである。
 しかし、透明性などということがなぜ必要になるのかといえば、不透明なことがあるのではないかと勘ぐる悪意ある人がいるからで、神のような美しい心をもった医師と、会社の利益などは一切考えずただ患者さんに少しでも有効な薬を提供するために日夜邁進している崇高な製薬会社の麗しい提携関係を信じるひとだけであれば、そんなものは必要にはならないはずなのである。
 「週刊朝日」も東大合格者全員実名掲載などというくだらないことをやっていないで、製薬各社からデータがでそろった段階で、各大学、医療機関、各医師への資金提供の生データを掲載してくれないものだろうか? といってもそういうデータが公開されれば、えっ、製薬会社ってこんなとんでもない金額を医者にだしているの?という読者もでてきて、製薬会社に不信の念を持つかもしれない。製薬会社にとっても自分のHPに掲載するのはよくても、一般公開したい性質のものではないかもしれない。(いま覗いたファイザーのこのデータの部分は閲覧できるだけで保存できないようになったいた。これも何かの遠慮なのだろうか?) 製薬会社からの広告というのは雑誌の収入上ばかにならない部分を占めているのかもしれないから、実際にはそういう記事は書けないのかもしれない。