今日入手した本

NHKスペシャル 病の起源 がんと脳卒中

NHKスペシャル 病の起源 がんと脳卒中

 テレビの番組を書籍化したものらしい。病気を進化の観点から考察したもの。
 科学は「どのように?」ということには答えるが、「なぜ?」ということには答えないことになっている。引力とはどのようなものかという説明はするが、引力がなぜあるかということには答えない。ビッグ・バンととはどのようなことかは説明するが、それがなぜおこったかには答えない。
 生物学でもかつては事情は同じであったが、最近では生物学においては、それをしていいことになっている。今われわれの体の構造がこうなっているのはなぜか? ということには、それがこれこれこういう事情で進化の過程で有利に働いたからという説明が回答になるからである。
 そういうわけで病気というのも生物学的現象であるから「がんという病気はなぜあるのか? 脳卒中という病気はなぜあるのか?」という問いに対して進化の観点からある程度の答えがだせるようになってきたらしい。その一端を示したものが本書ということのようである。
 もっとも生物学の一番の根本の問いである「生命はなぜあるのか?」という問いに対しては答えはない。それは事実としてできてしまっているが、それができなくてはいけない必然性というのは少しもないわけだから、問い自身がおかしいということになってしまうわけである。