今日入手した本
- 作者: ギルバートライル,坂本百大,井上治子,服部裕幸
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1987/11/11
- メディア: 単行本
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ケストラーはもちろん、ライルの「心の概念」を批判しているわけで、とにかくケストラーは、生命が物理化学的メカニズムの総和として説明できるとか、人間がダーウィン的な進化の産物として説明できるという方向が大嫌いなのである。人間は物理化学的機械に《すぎない》とするような見方を嫌悪した。それで、全体は部分の総和以上のものである(「ホロン」という概念を提唱した)としたし、獲得形質の遺伝の存在を擁護した(「サンバガエルの謎」)。しかし、こういう方向は、科学の知見が積み重なってくるにつれ、旗色が悪くなる一方であるわけで、もはや「機械の中の幽霊」といった本を科学の分野にいる人間は読まないだろうと思う(しかし、人文系の人間はそうでもないかもしれない)。
それなら批判されているライルが現在どういう位置づけになっているのかはよくわからないが、かつてこの本に興味をもって調べたら、絶版だったのか、原著のペーパーバックを取り寄せてパラパラとみてみたことがあるが(ペンギンのペーバーバック)、そこにデネットが序文を書いていたので、それでデネットがライルの弟子であることを知った、ということはかつてここの書いた記憶がある。
いまのわたくしにはデネットとかピンカーのほうが説得的なのだが、デネットやピンカーがあれだけの論陣をはらなければいけないというのは、西欧におけるキリスト教的な見方(人間は魂をもつ動物であり、その点で他の動物と画然と区別される。あるいは魂は不滅である・・・)の強さということによるのだろうから、気の毒な感じもする。いま別に、ソーントン不破直子氏の丸谷才一論での「可死性」という議論をみているところなのだが、これを西欧で議論したらあっという間の《魂》という問題がでてきてしまうだろうと思う。
今日、本屋でたまたま見つけた。2012年5月の8刷となっている。「書物復権」という帯があり「8出版社共同復刊」とあるから、そのころに復刊されたが、気がつかないでいたのかもしれない。
The Concept of Mind (Penguin Modern Classics)
- 作者: Gilbert Ryle,Daniel Dennett
- 出版社/メーカー: Penguin Classics
- 発売日: 2000/08/03
- メディア: ペーパーバック
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機械の中の幽霊―-現代の狂気と人類の危機- (1969年) (ぺりかん双書〈1〉)
- 作者: アーサー・ケストラー,日高敏隆,長野敬
- 出版社/メーカー: ぺりかん社
- 発売日: 1969
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