今日入手した本

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

 
 新聞で紹介されていた本。
 経済危機に陥った場合、a)緊縮財政、b)特定の社会保護政策への予算投入の二つの選択肢があるが、前者を採用すると国民の健康状態が悪化するばかりか景気低迷も長引く。一方後者を採用した場合には、国民の健康状態は悪くならないばかりか景気も早く回復する。b)の場合、特定の社会保護政策というのが肝で、公共投資に大盤振る舞いなどというのでは駄目で、セーフティーネットの拡充といった方向への投資が有効ということらしい。
 本書の内容の一部はすでにマーモットの「ステータス症候群」などで知っていたことであるが、そこでいわれていた「社会格差の拡大は健康に悪い」という主張は理解できたが、社会格差の拡大は景気をも悪くするという主張ではなかったので、あくまで医療の内部での話であった。
 本書は健康にいい⇒景気も回復、というロジックらしい。本当かねという気がするが、イデオロギー的主張としてではなく、データによってそれを示すという行き方をしているようである。ピケティの「21世紀の資本」(停滞中)もその方向の本である。
 わたくしにとっては切実なテーマの本で、これからの少子高齢化の急激な進行によって社会保障制度は早晩破綻するというような悲観的な情報にばかり接しているので(介護保険制度はすでに危ないらしい)、にわかには信じられない話である。どう考えても医療部門などへの投資は生産性に直接結びつくとは思えないので、非常にネガティブな投資のように思っていた。どういうロジックによるのか、これから読んでいきたい。
ステータス症候群―社会格差という病

ステータス症候群―社会格差という病

21世紀の資本

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