今日入手した本

 

植物が出現し、気候を変えた

植物が出現し、気候を変えた

 植物が地球上の生命の歴史をいかに大きく変えたか、地球の気候にどれほどの影響を与えたかということを論じた本らしい。
 まだあまり読んでいないけれど、ダーウィンにくらべてドーキンスは植物にほとんど興味をもっていないということが書かれている。なんだか解るような気がする。
 神様が“永遠の魂”を与えたのは動物の一種である人間だけで植物にはあたえなかったのである。ドーキンスは進化という事実を示すことによって人間から“永遠の魂”を消してしまうことを目論んでいるのであろう。そうであるならば、もともと“永遠の魂”が与えられていない植物には関心が持てないわけである。
 ダーウインは進化そのものに関心を持った。その結果が神様には不都合になったことはダーウインにとっては目的ではなく、随伴して出現する迷惑な事態に過ぎない。ドーキンスははじめから反=宗教の闘士だったわけではなく、進化の単位は個体ではなく遺伝子であることをいいたかっただけなのであろうが、個体が重要でなくなれば魂どころではなくなる。それは人間は特別な(あるいは別格な)動物であると思いたい人々にとっては“不都合な真実”である。しかしそれは宗教の側の人間にとってばかりでなくドーキンスにとっても困った事態なのである。なぜなら、進化とは個体にではなく遺伝子にかかることを理解できるくらい人間の知性はすぐれているのであって、そのようなことが可能なのはあらゆる動物のなかで人間だけなのである。ましてや中枢神経系を持たない植物においてをや。
 そもそも植物においては個体とか死という概念も動物にくらべてずっと曖昧である。動物は植物がおこなっている光合成なしでは存在しえないのだから、植物なしの生命誌などありえないのだから。