今日入手した本

J・クレランド「ファニー・ヒル

ファニー・ヒル (河出文庫)

ファニー・ヒル (河出文庫)

 池澤夏樹氏個人編集の「日本文学全集」の「吉田健一」の巻で、池澤氏がこの吉田健一訳の「ファニー・ヒル」の訳者解説についていろいろと論じていた。それでこの本が書店にあるのを偶然見つけて手にとってみたら、最近の日付で3刷りとなっていた。たぶん、この解説を意識して増刷されたのだと思う。このポルノグラフィーとして名のみ有名な作については実際には何も知らなくて、本当の娼婦が残した手記なのだと思っていたら、創作(小説)であるらしい。健一さんんによると、ここには18世紀の優雅があるらしい。
 
福永武彦「風のかたみ」
風のかたみ (河出文庫)

風のかたみ (河出文庫)

 同じく池澤夏樹氏編の「日本文学全集」の「堀辰雄福永武彦中村真一郎」の巻の解説で、池澤氏は福永武彦から一作を選ぶとすれば「風のかたみ」であるのだが、ここに収めるのにはあまりに長く断念したと書いていた。それで昔、読んだ「風のかたみ」を思い出したのだが、なくしてしまったらしく(あるいは誰かに貸して戻ってこなかった?)本棚には見当たらなかった。それで本屋でこれまた偶然見つけたのだが、河出文庫としては最近刊行されたばかりらしい。
 「日本文学全集」も河出刊であるが、上記2冊ともに河出文庫である。この文学全集はいろいろと副産物?(副刊行?)も生んでいるらしい。
 「風のかたみ」は面白かったという記憶以外に何もないが、福永さんというひと、ミステリをたくさん読んでいるひとなのだろうなと思った記憶だけはある。小説好きには二種類あって、ミステリのようなお話もたくさん読むタイプと、ミステリのような作り物はまったく受けつけないタイプである。福永さんはもちろん前者、丸谷才一も前者、おそらく池澤氏もそうなのであろう。