Y・N・ハラリ「サピエンス全史」

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 最初のページに、ビッグ・バンで物理学がはじまり、原子と分子ができて化学がはじまり、有機体(生物)ができて「生物學」がはじまり、7万年前に文化がはじまって歴史がはじまり、歴史の道筋は7万年前の認知革命、1万2千年前の農業革命、500年前の科学革命の3つの革命によって決まったというきわめて巨視的な視点が示される。認知革命とは「虚構」「架空の事物」について語る能力を獲得したことをいう。「ライオンはわが部族の守護神だ!」 そして農業がある意味で人類の禍のすべてのもとになったかもしれないこと、科学革命がわれわれになにをもたらすかは未知であるおとなどがいわれる。
 だいぶ以前に読んだ「農業は人類の原罪である」という薄い本があって、そこで農業が人類にもたらした惨禍という視点をはじめて知った(この本は同時にホモ・サピエンスネアンデルタール人との関係を論じた本でもあった。その問題は本書でも論じられている)。「農業は・・・」は進化論の視点からの本であった。本書もまたその根っこに進化論の視点をもつものなのだろうと思う。現代は進化論を抜きにしては何も論じられない時代なのだと思う。
 
農業は人類の原罪である (進化論の現在)

農業は人類の原罪である (進化論の現在)