半藤一利 阿川佐和子「昭和の男」
- 作者: 半藤一利,阿川佐和子
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2017/09/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
半藤一利が鈴木貫太郎、今村均、松本清張、半藤末松、阿川阿佐和子がW・M・ヴォーリズ、植木等、小倉昌男、阿川弘之をとりあげて論じる対談。二人とも自分の父親をとりあげているというかなり安易な人選で、この8人を通じて昭和という時代が浮かび上がってくるかというとまったくそのようなことはない。
この中でわたくしが知らなかった今村均とヴォーリズが面白かった。今村均は元陸軍大将で日本の陸軍にもこういうひとがいたということを知った。なんでこんなひとが陸軍大将になれたのかと思うが、陸大では主席で軍人としても有能なひとであったらしい。
もう一人、ヴォーリズ。このひとはアメリカ出身の建築家。なんで阿川佐和子がとりあげているのかというと、阿川さんは中高を東洋英和女学院で過ごしたのだそうだが、その東洋英和の校舎を建てたひとということによってである。このヴォーリズというひと、大丸の心斎橋店、関西学院、明治学院のチャペル、山の上ホテルとか主婦の友会館とか神戸女学院(内田樹さんが教えていたところですね)とか多くの建物にかかわっているらしいのだが、ライトなどとくらべると全く無名である。というのもコンクリートを用いた建物が多いからなのだという。煉瓦でないと文化財としてはダメらしい。
このひとのいろいろな逸話を読んで、ちょっと小泉八雲を思い出した。競争社会のアメリカから逃げ出して日本で息をつくことができたアグレッシブではないドロップアウトの人。
それと感じたのは、キリスト教が日本にもたらした最良の影響の一つが女子の中等教育だったのではないかということである。必ずしもクリスチャンをつくったということではなく背骨のある、信念のある人間をつくったということがあるのではないだろうか?
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1977/11
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る