町田康 「屈辱ポンチ」

   [文春文庫2003年5月10日初版 原著1998年12月初版]


 また読んでしまった。中毒なのだろうか? 「けものがれ、俺らの猿と」と「屈辱ポンチ」の二作をおさめる。「けものがれ・・・」はよくわからない。なんか薬を飲んで書いたのかなという感じ。大体、題名がわからない。Getting wild with our monkey. なんて英語が添えてある。「われらの猿とともにワイルドになりなさい」という意味らしい。けものがるという動詞があるのだろうか? 
 「屈辱・・・」はまだわかる。自意識過剰の一人芝居の滑稽。
 このひと、異様に奥さんに逃げられる話が多い。「くっすん大黒」も「けものがれ・・・」もそうだし、「夫婦茶碗」もそうみたいである。それから猿をふくめた動物が好きみたい。
 でもこれだけ似たような話を書いていると煮詰まってしまう。「パンク侍、・・・」という時代小説を書かなくてはいけなくなった背景がなんとなく見えてきた。