2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

橋本治「その未来はどうなの?」(3)

「歴史の未来はどうなるの?」というちょっと変なタイトルの章で、橋本治氏はこんなことをいう。「今とは関係ない昔のことを頭に入れて、なんの役にたつんだ?」という意見がある。たしかにそうだ、と。その例として氏は、織田信長の名をだす。歴史の教科書…

橋本治「義経伝説」(「浄瑠璃を読もう」番外)

河出書房新社 1991年 この本は、だいぶ前に東京駅の「丸善」で見つけたのだったと思う。こういう珍しい本は見つけた時に手に入れてしまわないとすぐに姿を隠してしまうので、買った。買って安心して読まないままというのもいつものパターンで、本棚の奥…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(終わり)

次は近松門左衛門の「国姓爺合戦」なのだが、橋本氏はあまり熱が入っていない。 近松門左衛門は人形浄瑠璃を代表する作家と一般に思われているのでとりあげたという感じで、氏にいわせれば、近松は人形浄瑠璃作家の中では「ちょっと変わった存在」なのである…

橋本治「その未来はどうなの?」(2)

今回はあらためて「まえがき」から。 橋本氏は、なんでここでに書いているようなことを考えているのかというと、それをしないと「自分の足下が崩れてしまう」からだという。「自分が明確だから、世の中のことなんかどうでもいい」と言える人は、自分を明確に…

橋本治「その未来はどうなの?」(1)

第2章「ドラマの未来はどうなの?」にとんでもないことが書いてある。 さて、ここでのドラマとは「指針のない世の中で、人が生きて行くための指針となった物語」を指すのだとされる。江戸時代は、「なにしてやがんだ手前ェは! このバカ野郎!」というよう…

今日入手した本

その未来はどうなの? (集英社新書)作者: 橋本治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (16件) を見る 橋本氏は2年前から大病にかかっているらしく、「体力・気力・知力ともにない」などと…

片山杜秀「続クラシック迷宮図書館」

ARTES 2010年3月 「未完のファシズム」以来、片山氏の本をいろいろ読み直しているが、これもそのうちの一冊。様々な音楽書についての書評を集めたものである。 その中から、2005年11月の「『モオツァルト』と「近代の超克」」は井上太郎氏の…

今日入手した本

福田恆存―人間は弱い (ミネルヴァ日本評伝選)作者: 川久保剛出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2012/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 小谷野敦氏のブログで紹介されていた。 福田氏はわたくしが心酔ということをし…

片山杜秀「ゴジラと日の丸」(2)

文藝春秋 2010年12月 2000年10月18日の日付の『指圧の心、母心。浪越徳治郎は真に六〇年代的な偉人だ』というコラムについて。 浪越徳治郎といっても今の若いひとは知らないだろうし、1963年生まれの片山氏が知っているのが驚きなのだが、…

片山杜秀「ゴジラと日の丸」

文藝春秋 2010年12月 二年ほど前に刊行されたコラム集で、95・02・08の日付の「何が危機管理だ! 東京直下型大地震を管理できるものならしてみろよ!」という神戸の地震の後に書かれたコラムにつき、東日本大震災の後にここで言及したことがある…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(5)

次は『ひらかな盛衰記』。 これは『源平盛衰記』の分かりやすい「ひらがな版」なのだそうである。であるが、『源平盛衰記』自体が学者しか読まない一般の読者にはなじみがないものとなってしまっているので、もっと説明が必要になって、橋本氏によれば『源平…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(4)

つぎが『本朝廿四孝』である。わたくし本当にこれ題名しか知らなかったので、日本の親孝行列伝と思い込み、親孝行も孝行話も大嫌いなので、いやな話だろうなとだけ思ってきた。それが何と上杉謙信と武田信玄の話なのである。浄瑠璃の台本にはタイトルの上に…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(3)

『人形浄瑠璃に「お姫様」が登場すると、彼女の仕事は「恋をすること」になってしまうのが通り相場』と橋本氏はいう。『ただもう一途に恋をする。はたの迷惑も考えず、「逢わせてたべ」と泣きすがる。「お姫様」ばかりでなく、「若い娘一般」がそうである』…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(2)

ここでは、その時々に読んだ本の感想というか、後々の参照のための内容のまとめのようなものを書いているのだが、この二ヶ月ほどは、片山杜秀氏の「未完のファシズム」が面白かったので、それとのかかわりで読んだ本が多くなってきている。 なにしろ片山氏の…

高野文緒「カラマーゾフの妹」

講談社 2012年8月 昨日、80ページくらいまで読んで、つまらないなあ、読み続けられるだろうかと書いたが、100ページ目あたりで「悪魔」がでてきて、あぁ「巨匠とマルガリータ」のパクリと思い、少し風景が変わって、これで読み続けられるかなと思…

今日入手した本

カラマーゾフの妹作者: 高野史緒出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/02メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (53件) を見る 今年度の江戸川乱歩賞の受賞作らしい。昨日の毎日新聞の書評欄で紹介されていたので買ってき…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(1)

最初の「『仮名手本忠臣蔵』と参加への欲望」についてはすでに少し論じたので、次の「『義経千本桜』と歴史を我等に」。 ここで浄瑠璃の歴史というか由来が語られる。なんで『義経千本桜』のところでなのかというと、人形浄瑠璃にとって、源義経という人物は…

今日入手した本

片山杜秀の本(5)線量計と機関銃──ラジオ・カタヤマ【震災篇】作者: 片山杜秀出版社/メーカー: アルテスパブリッシング発売日: 2012/07/24メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る 橋本治氏の「浄瑠璃を読もう」に…