2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹 「蛍・納屋を焼く・その他の短編」  橋本治 「蝶のゆくえ」

[新潮文庫 1987年 原著1984年初版] [集英社 2004年11月30日 初版] この二つの短編集を較べてみようというのである。 村上のこの短編集を読んでみたのは、一つには、「男流文学論」で、「蛍」が「ノルウェイの森」の元短編として、この短編で…

小谷野敦 「評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に」

[平凡社新書2004年11月10日初版] 本書を読んで、本を読むこと、それについて書くことなどについていろいろと考えることろがあった。たとえば、わたくしがいくつかの本を読んで、その感想をこう形でインターネット上にアップしている、そういうこと…

中沢新一 「僕の叔父さん 網野善彦」

[集英社新書 2004年11月22日初版] 僕の叔父さんというのは比喩ではない。中沢氏の父の妹と網野氏が夫婦であったということであり、網野氏と中沢氏は血縁として親交があり、相互に影響を与え合った間柄であったことが書かれている。実際に網野氏の「…

吉田健一 「ヨオロツパの世紀末」

[新潮社 1970年9月30日 初版] 久しぶりに読み返してみて、本というのはこういう風でなければいけないと思った。何か考えてみたいことがあり、それについて、ある長さの文章を書くことで、自分が考えてみたかったことの輪郭が、はじめてはっきりとした…

内田樹 「死と身体 コミュニケーションの磁場」

[医学書院 2004年10月1日初版] 「ケアをひらく」という、主として看護師を対象としたシリーズの一冊、ではあるが看護とか介護とかに直接言及した部分はないので、ケアという問題に関心があって本書を手にしたひとは呆然とするであろう。本書は内田が…

内田樹 「他者と死者 ラカンによるレヴィナス」

[海鳥社 2004年10月20日初版] 難しい本である。ラカンやレヴィナスの本がなぜ難しいのか? それは簡単にはわからないように書くことによって、読者にあなたは何をいいたいのかという問いを励起させることをめざしているのだと内田はいう。それならば…

三木成夫 「内臓のはたらきと子どものこころ 増補改定新装版」

築地書館 1982年8月20日初版 養老孟司の本を読んでいると時々三木成夫の名前がでてくる。たとえば、「脳が読む」「考える人2003年春号」など。なんとなく気になっていたところ、偶然、丸善本店で見つけた。. 大変な本であるが、ここからすぐに連…

上野千鶴子 小倉千加子 富岡多恵子 「男流文学論」

ちくま文庫 1997年9月24日初版 原著は1992年1月初版 いやーあ、面白かった。もっと早く読むのだった。風評では、フェミニズムの論客3人が、男性作家をあたるを幸いなぎ倒す。後には死屍累々。というような話だったので、怖い、怖い、近づくのは…

小谷野敦 「バカのための読書術」

ちくま新書 2001年1月20日初版 最近歴史関係の本を少し読んでいるのは本書の影響もある。バカは歴史を中心に読書をすべきというのが本書の主張である。 ところでここでバカとは、哲学とか数学とか抽象的なことが苦手というひとのことなのだそうである…

橋本治 「ひらがな日本美術史6」

新潮社 2004年10月25日 初版 その最終章「弥生的ではないもの」のみ。 日本の美術をつらぬくものは、弥生的なものである。弥生的なものとは、うっとうしくないもの、優美なもの、ごつごつしていないものである。縄文的なものはついに日本の主流とは…

加藤隆「一神教の誕生 ユダヤ教からキリスト教へ」

講談社現代選書 2002年5月20日初版 ユダヤ・キリスト教的な全能の神が存在すると仮定する。その神のおこないは人間の理解を超えているはずである。そうであるなら、神というものについて、人間があれこれと考えて議論することに何か意味があるだろう…