2003-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 養老孟司 奥本大三郎 池田清彦「三人寄れば虫の知恵」

新潮文庫 2001年7月1日初版 原著1997年4月洋泉社初版 昆虫きちがい、虫きちがい3人による鼎談。 話題の中心は多様性である。とにかく虫は種類が多いらしい。虫をいじっていれば、「いろんなものがある」ということは身にしむるらしい。そうなれ…

 L・ムロディナウ「ユークリッドの窓 平行線から超空間にいたる幾何学の物語」

NHK出版 2003年6月25日初版 この手の本は好きでときどき読む。大体パターンはきまっていて、ユークリッドの公理のなかで平行線公理の不純さ(無限をふくむ)を指摘し、その公理を否定した、1)ある線に対してその線のそとにある点を通りその線に…

 ロバート・ケーガン「ネオコンの論理 アメリカ新保守主義の世界戦略」

光文社 2003年5月25日初版 香山リカとの対談で福田和也が現在のアメリカ理解に必須のテキストであるとしていた本。ネオコンというのはネオ・コンサーヴァティヴの略であろうが、現在のアメリカ政権の政策を主導しているひとたちが自分たちのことをネ…

 丸谷才一 「輝く日の宮」

講談社 2003年6月10日初版 丸谷才一の10年ぶりの長編小説。このひと大体10年に一回長編を書くことになっていて、「エホバの顔を避けて」「笹まくら」「たつた一人の反乱」「裏声で歌へ君が代」「女ざかり」に続く6冊目。 たぶん丸谷氏が本当にか…

 村上春樹「少年カフカ」

新潮社 2003年6月10日初版 村上春樹が期間限定でもうけた「海辺のカフカ」のホーム・ページへよせられた質問に村上春樹がこたえたものを収録した本。 とんでもない装丁で、少年向けマンガ雑誌そのものといったものになっている。村上春樹のアイディア…

 内田樹「映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想」

2003年6月15日初版 内田さんは休筆宣言をしたわりにはよく本ををだす。 それで、いつかどこかで聞いたはなしばかりといえば確かにその通りであるが、今回は映画を通した現代思想解読という趣向。現在思想といっても、バルトのテキスト論とラカンによ…

村上龍 「置き去りにされる人びと すべての男は消耗品である。Vol.7 」 

KKベストセラーズ 2003年6月10日 初版 あいかわらず同じことのくりかえしで、日本はさまざまな階層へと分解しつつあり、それは不可避であって、日本をひとくくりにして論じることはできない、という主張である。 たとえば、「痛みをともなう改革」…

 香山リカ+福田和也「「愛国」問答」

中公新書ラクレ 2003年5月10日初版 香山リカと福田和也の愛国心をめぐる対談である。福田はトッドの<アメリカは実は弱い国なんです>論とは正反対の、<アメリカ=リヴァイアサン>論に依拠していて、それはそれで面白いのだが、この本は、香山リカ…

 山田風太郎「戦中派闇市日記」

小学館 2003年6月20日初版 「戦中派虫けら日記」「戦中派不戦日記」「戦中派焼け跡日記」に続く山田風太郎若き日の日記。昭和22年と23年を扱う。 ここにあるのは怒りである。まわりの人々の愚かしさへの怒りであり、敗戦を終戦を言いかえ、拝啓マ…