2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧
与那覇潤氏の「歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの」(朝日新書 2021年6月刊)にある、コロナウイルス感染への日本の対応についての氏の見解にいささか納得できないものがあった。コロナの問題についてはまったくの素人ではあるけれども、…
漱石の「虞美人草」は漱石が朝日新聞社に移っての第一作なので、張り切りすぎたのであろう、美文調過剰の小説で「春はものゝ旬になり易き京の町を、七條から一條迄横に貫ぬいて、烟る柳の間から、温き水打つ白き布を、高野川の磧に数へ盡くして、長々と北に…
習近平氏の続投が決まり、今後ますますその権力が強化されるらしい。 その報道を見て感じるのが、そのような独裁色が強い国家が旧共産国&現(自称?)共産国に多く見られるということである。 中華人民共和国は共産党の一党支配の体制にあるが、その政党は…
最後にふされている「跋」は全体で7ページほどで、一部はこういう出版物の例にもれず、本書の出版にかかわった方への謝辞である。問題はそれ以外の部分で、現在の日本の人文学の現状(惨状?)の指摘と、それへの批判である。 2016年のトランプ当選&ブ…
この期間は平成という時代への喪の作業の期間だったと与那覇氏はいう。 アベノミクスの成果であるとされた景気の拡大は平成18年(2006年)10月までで、以後は収縮へと転じる。わたくしは2000年頃までがバブルで、2003年くらいまではバブルの…
与那覇氏は、平成29年からの第二次安倍政権の初期ほど、平成の達成が崩れていった時代はないが、それに気づいていない人が多いという。 「アベノミクス」は国民に好評だった。株価は高騰し、円安が進んだ。知識人もそれに同調していた。「リフレ政策」が受…
自民党麻生政権は低支持率で鳩山政権に交代。その当初の高支持率はすぐに低下するが、菅直人への交代でふたたび上昇。しかしその消費税増税発言でまた低下。・・とにかく非自民政権は不安定だった。この一つの原因としてはこの政権を陰であやつった小沢一郎…
今日の朝日新聞朝刊の2面に雑誌「世界」の宣伝が載っていた。特集が「戦後民主主義に賭ける」。「賭ける」というのは、普通は《勝つ可能性は高くないが敢えてそれを知った上で》というニュアンスで用いる言葉だと思う。とすると、この特集は「戦後民主主義…
06年9月、第一次安倍内閣発足。その直前に8月15日に小泉首相が靖国参拝。 小泉政権下ではケインズからハイエクへの構造転換がおこなわれたと与那覇氏はいう。 このころから、ポスト冷戦で軽やかになったように見えていた論壇が「重くて暗い」論調へと…
今年のノーベル文学賞にエルノーさんというフランス女性が決まったらしい。 どこかで聞いたことがあるような気がしたので調べてみたら「シンプルな情熱」というのを読んだことがあるのを思い出した。もう30年位前かも知れない。本当に単純に女の人が男の人…
小沢一郎 小泉純一郎 橋本行革・・などが論じられるが、現実の政治には関心があまりないのでパス。このころ覚えているのは、テレビをみていた母親「何だか、小泉さん怒っているよ!」と教えてくれたことくらいである。竹中平蔵さんの写真もでているが、どう…
何だかなかなか進まないので、今回は2章をまとめて5年分。 与那覇氏は、1999年は「言語から身体へ」の転換が動き出した年であったという。すなわち「何が語られているか?」から「誰が語っているか?」へ。この年都知事になった石原慎太郎と自死した江…