2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

山崎正一 串田孫一「悪魔と裏切者 ルソーとヒューム」

ちくま学芸文庫 2014年11月 まったく偶然に書店でみつけたもの。なぜ買ったかといえば、ヒュームに興味があるからで(ルソーには興味がない)、なぜヒュームに興味があるのかといえば、吉田健一の「ヨーロツパの世紀末」で18世紀ヨーロッパの文明人…

北中淳子「うつの医療人類学」(終)第9章「ローカル・サイエンス、グローバル・サイエンス」

この章が最終章で、本書の結論部分である。 1)日本ではうつを「バイオロジカルな疾病」として捉えるのだが、それでもそれが「生物学的還元主義」を必ずしも意味しない。そのことによって、うつについては多様な見方が存在しうる方向が開かれている。 2)…

北中淳子「うつの医療人類学」(6)第7章「「労働科学」の新たな展開」

もともとわたくしがこの方面に否応なしに関心をもたざるをえなくなったのは、数年前から産業医療の分野にかかわることになり、それまで持っていた古典的なうつの知識だけではまったく対応できない状況にすぐに直面することになったからである。 そして本書を…

北中淳子「うつの医療人類学」(5)第5、6章「鬱、ジェンダー、回復1、2」

第5章と第6章はジェンダーの問題をあつかっていて、第5章が男性、第6章が女性を論じている。 うつ病は欧米では長い間「女性の病気」とされてきた。典型的には子どもが巣立った後に感じる空虚感である。ファミニストはうつ病は女性がおかれた社会的状況の…

今日入手した本

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策作者: デヴィッドスタックラー,サンジェイバス,橘明美,臼井美子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2014/10/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (27件) を見る 新聞で紹介されていた本。 経済危機に陥っ…

北中淳子「うつの医療人類学」(4)第4章「「精神療法」と歴史的感受性」

20世紀北米では精神分析がさかんで、うつ病の治療も精神分析によるものが主流であった。身体は精神によってコントロールされるべきと考えられてきた。しかし1993年長年抑鬱になやみ精神療法で改善していなかった人々がプロザック(SSRI)をのむこ…

北中淳子「うつの医療人類学」(3)第2章「気のやまい」 第3章「「神経衰弱」盛衰史」

第2章「気のやまい」 日本では西欧精神医学の渡来とともにうつ病が登場したといわれる。それ以前には、西欧と違い、憂鬱感は「自然なこと」として、むしろそこにある種の美意識が日本にあったからというような説明がされる。しかし北中氏は前近代の日本では…

ピケティ

いまピケティの「21世紀の資本」を少しづつ読んでいるのだが(まだ第2章あたり)、「アゴラ」に池田信夫さんの『ヨーロッパ左翼思想の到達点ー「21世紀の資本」』という文がアップされていた。 そこにこんなところがあった。「ヨーロッパの左翼は、英米…

丸谷才一・山崎正和「二十世紀を読む」

中央公論社 1996年 「21世紀の資本」などという本を買ってきたためか、何となく20世紀を論じた本が気になって、橋本治さんの「二十世紀」とか何冊か本棚から取り出してぱらぱらと見てみた。この本は1996年の刊行で、買った当時一部は読んだ記憶…

北中淳子「うつの医療人類学」(2)第1章「意志的な死」を診断する 第8章 自殺論

西洋においては、その宗教の伝統により、自殺は重大な罪であった。その中において自殺を脳の異常によるとする精神医学による「医療化」はある種の救済をもたらした。 一方、日本では、自殺は「死の作法」あるいは「意志的行為」として賞賛の対象にすらなった…

今日入手した本

21世紀の資本作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (127件) を見る 今日、東京駅の丸善にいったら本書が山積みにされていた。いろいろなところで評判になって…