小説が苦手

小説を読むのが苦手である。もちろんまったく読まないわけではないが、わざわざ架空の話を作って、そこで自分の持つ考えをのべるというのが何かまだるっこしい気がして仕方がない。 それには、わたくしが私淑してきた吉田健一氏がアンチ小説派であったことが…

ブログを始めたころ

わたくしがブログを始めたのは野口悠紀雄氏の「ホームページにオフィースを作る」(「光文社新書 2001年11月」)読んでであるから今からもう20年以上も前のことである。) そこで野口氏が言っていたのは「ホームページを作っても誰も読まない。しか…

本を読む あるいは文を読む 昔々看護師さんと読書会をしたときの話

看護師さんというのは難しい立ち位置の仕事で、まず患者さんからは医者の単なる補助役のように思われていることが多い。看護という独自の役割を医療の場で果たしているというような認識が、患者さんの側にはあまりない。(医者の側にも、それがない人は少な…

いわゆるジャニーズ問題についての門外漢の見解

わたくしはポピュラーミュージックの分野にはまったくの門外漢であるので、以下にかくことはほとんどが見当違いであろうと思う。 わたくしはジャニー老が発掘したといわれる男性タレント(女性はいない?)は主として若い女性にアッピールすることによって売…

昔 進歩的文化人という人達がいた(4)

稲垣武さんに「「悪魔祓い」の戦後史」という本がある。ここでの悪魔とは進歩的文化人(あるいは進歩思想)のことだから、かなりえげつないタイトル。(文春文庫 1997年8月) 92年に書かれたものに加筆したものらしいが、いわゆる進歩的文化人につい…

昔 進歩的文化人という人達がいた(3)

竹内靖雄氏に「経済思想の巨人たち」という本がある(新潮選書 1997)。 その中にはもちろんカール・マルクスも入っているわけだが、竹内氏は「マルクスが露骨に暴力革命を鼓吹したふしはない」として、マルクスは《「科学的世界観」を確立した「予言者…

昔 進歩的文化人という人達がいた(2)

わたくしは「進歩的文化人」というのは全てのことに対策があると思っている人たちだと思っている。 誰だったか、「進歩的文化人」というのは、対策をたてれば人間は死ななくなると思っているのではないかと揶揄していた。 人間もまた動物の一種であるはずだ…

昔 進歩的文化人という人達がいた

といっても、今でもいるのだろうと思うが以前ほどの勢いはないように思う。 しかし、わたくしの若いころには大した勢いで、わたくしなど「お前のようなやつは、俺たちが天下をとったら縛り首だ」などと言われたものである。(←これは全共闘運動が華やかだっ…

30万アクセス

今みたら、現在の総アクセス数が299989となっていた。一日の平均アクセス数が100~150位だから、本日中に30万を越えるのではないかと思う。 ブログを始めたのは野口悠紀雄氏の「ホームページにオフィスを作る」(2001年 光文社新書)にそ…

昭和22年生まれ

わたくしは昭和22年1月23日の生まれである。 年表(昭和・平成史 新版 岩波書店)を見ると、生まれてすぐの1月28日に「吉田内閣打倒・危機突破国民大会というのが宮城前広場で開かれて30万人が参加とあり、1月31日にはマッカーサー元帥が2.1…

中国 その2

なにしろ中国は大きな国である。日本の何倍あるのだろう? 狭い日本でさえ、北海道と九州、東北と四国、東京と京都では随分と違うだろう。 幕末、薩摩の武士と京都のお公家さんの間では全く言葉が通じず、漢文で話しあったという。そうであるなら広大な中国…

中国

最近、中国の政治経済がいろいろな面で行き詰まって来ているとする報道が多い。政治経済の方面についてはまったく知識を欠くわたくしとしては、その報道が意味するところの正否を判断することは出来ないが、わたくしが抱く疑問は、例えば中国共産党の様々な…

ミラン・クンデラ

チェコの小説家のクンデラが亡くなったらしい。今年7月のことらしいが、今日まで知らなかった。小説の「冗談」とか「存在の耐えられない軽さ」が有名だと思うが、読んでいない。(「存在・・」は読みだしたが中断のまま) ということでわたくしにとっては専…

平和主義?

今朝の朝日新聞の朝刊の「論壇時評」に政治学者の宇野重規氏が「平和主義の行方 どう語るか」という論を寄稿している。そこに山本昭宏氏の『日本の戦後平和主義が「ほぼ有名無実化」した』という言葉が引用されていた。 福田恆存氏が「平和論にたいする疑問…

慶応塾歌

高校野球で慶応が優勝したため、最近、慶応の塾歌を聴く機会が多い。「おお風に鳴る我が旗は・・・」 信時潔作曲の大変よい曲だと思うのだが、この曲を聴くとなぜか、わたくしは同じ信時作の「海ゆかば」を思い出してしまう。「海ゆかば水漬く屍、大君の辺に…

父の話

父は昭和16年東京帝国大学医学部を卒業してすぐ軍医として南の島に派遣された。その島は戦略的価値がないと判断されたのか米軍に無視されたため、特に戦闘という戦闘もないまま終戦を迎えたらしい。とすれば軍医など何の役にも立たないわけで、その島で農…

ガルッピのピアノソナタ ハ長調

YouTubeをみていたら、ミケランジェリの弾くガルッピのピアノソナタが出て来た。この曲はずっと以前ラジオを聴いていたら偶然かかっていたので知ったもので、この時もミケランジェリの演奏。この曲を世界に広めたのもミケランジェリらしい。 本当に可愛らし…

ヘルパンギーナ?

一週間位前から女房ともども感冒様でくずぐずしている。女房の方が重症で味がしない匂いがしないといっているが、わたくしのほうはそれほどではない。 今、本来は子供の病気であるヘルパンギーナが今大人にも流行っているらしい。 そういう症状であるので、…

渡辺京二氏

昨日の朝刊「折々のことば」に渡辺京二氏の言葉が引用されていて、「最晩年の語り下ろしから」と書かれていた。 渡辺氏の名を初めて知ったのは、大分以前どなたかが在野の論客として何人かの名前が挙げられていたそのうちの一人としてであった。それで氏の著…

山本七平氏の日本陸軍についての論考と最近の某保険会社での不祥事

山本七平氏の軍隊三部作?「ある異常体験者の偏見」「私の中の日本軍」「一下級将校のみた帝国陸軍」はそれぞれ1974、75、76年の刊行であるが、わたくしの持っているのは、それぞれ81、75、81年の刊の本であるので、「私の中の日本軍」のみを…

《自分に正直に生きたい》

本棚の奥から呉智英さんの古い本「バカにつける薬」が出て来た。(双葉社 1988年刊) 呉智英氏の名前は「くれともふさ」と読むのが正しいようだが、わたくし的には「ごちえい」さんである。 その巻頭で、西舘好子氏の《自分に正直に生きたい》という言葉…

代表的日本人100人

今日の朝刊に「文藝春秋」が創刊100年になるらしく、特集「現代の知性24人が選ぶ 代表的日本人100人」という企画の宣伝が載っていた。その24人がおのおの3名の代表的日本人を挙げている。広告にでているのは3x24=72名で、「文藝春秋」本体…

まごころ

前稿で、『わたくしは「まごころ」などというものをいまだに信じている古い人間』といったことを書いた。それで、フロベールの「三つの物語」のなかの「まごころ」を思い出した。 「三つの物語」は「まごころ」「聖ジュリアン伝」「ヘロデイアス」の3編を収…

谷沢永一「人間通」と最近のマスコミの報道の姿勢

大分古い本だが、谷沢永一氏に「人間通」という本がある。1995年に新潮選書として刊行され、2008年に増補版が刊行されている。 わたくしは「まごころ」などというものをいまだに信じている古い人間なので、ここで谷沢氏が述べている様々な日本で生き…

「レコード芸術」終刊

今日の朝日新聞朝刊に「レコード芸術」の「最終号」71年間 ありがとう ございました」という広告が出ていた。 71年間ということは、わたくしが幼稚園の頃の創刊である。CDではなくレコードである。そのころはEPが出た時期らしい。 わたくしが小学生の…

関白宣言

さだまさしに「関白宣言」という歌がある。結婚を前にした男が婚約者を前に、おれは関白な亭主になるから覚悟をしておけと宣言するといった内容の歌である。 黙って俺について来いとか、つまらぬ嫉妬はするなとか、お前は家をすてて俺のところに来るのだから…

一昔前の話

今から50年以上前、わたくしがまだ大学教養学部の学生のころ、法学の授業(長尾龍一先生)できいた話である。当然細部はうろ覚え。 先天性の異常のため男性性が過剰であるひと(ヤコブ症候群 ⅩYY?)は犯罪をおかしても処罰されないことに当時の法律ではな…

西洋だけにあるもの?

You tube でカラヤンが振っているヴェルディのレクイエムの「怒りの日」を見て(聴いて)、これは日本にはまったくないものではないかと感じた。Dies iræ, dies illa solvet sæclum in favilla: teste David cum Sibylla Quantus tremor est futurus, quando…

科学ジャーナリズムの先駆者 評伝 石原純

偶然古書店で見つけて買ってきた。西尾成子「科学ジャーナリズムの先駆者 評伝 石原純」(2011 岩波書店)。 石原純は理論物理学者であるとともに歌人としても有名であり、また現在ではおそらく原阿佐緒という女性との恋愛事件で歴史に名を留めているの…