エルノーさん

今年のノーベル文学賞にエルノーさんというフランス女性が決まったらしい。 どこかで聞いたことがあるような気がしたので調べてみたら「シンプルな情熱」というのを読んだことがあるのを思い出した。もう30年位前かも知れない。本当に単純に女の人が男の人…

You Raise Me Up

「You Raise Me Up」という歌がある。わたくしは偶然「you tube」でみつけたのだが、Martin Hurkens という少し頭が薄くなったおじさんが歌っていた。このおじさん、50歳過ぎて、テレビオーディション番組で優勝しデビューしたのだそうで、当時は失業中の…

To err is human

To err is human という言葉は一時、医療の世界でよく聞く言葉だった。ある時期、医療ミスや医療過誤の報道が続いたことがあり、医者ともあろうものが医療者ともあろうものがミスをするなど断じて許せないという糾弾の報道が続き、それに対して医療者の側の…

大本営発表

わたくしは戦後の生まれであるから、もちろん「大本営発表」を聞いたことはない。母の話などの伝聞、戦時期の記録などから間接的に知るだけである。それによると以下のようなものであったらしい。 「昨年八月以降、上陸せる優勢なる敵軍を同島の一角に圧迫し…

ノブレス・オブリージュ

ノブレス・オブリージュはフランス語で noblesse oblige 「高貴なものはまた義務をも負う」という意味らしい。「財産や権力を持つもの、社会的地位を持つ者にはまた義務が伴う」ということを指している。 この言葉を思い出したのは、エリザベス女王逝去の報…

Roald Dahl 「 Matilda」その他

20日くらい前の記事で、Dylan Thomas の「あの快い夜へおとなしく入っていってはいけない」に言及した。 その時、そういえばダールの「マチルダ」にもトマスの詩が引用されているところがあったなと思い出した。何となく「Poem in October」と思っていたの…

中井久夫さん (続)(補遺)

前稿で「希望を処方する。」という中井氏の「医療と家族とあなたとの三者の呼吸が合うかどうかによってこれからどうなるかは大いに変わる」という言葉を紹介した。 二十年位前、妹が「悪性リンパ腫」になった。 ある金曜日、外来をしていたら、妹から電話が…

中井久夫さん (続)

中井久夫さんが亡くなられて、追悼の記事をみると、氏の業績として神戸の震災時の罹災した方々への精神的ケアを挙げているものが多い。たしかにPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)という言葉はそのころから一般化したように思う。というかそれとは異な…

中井久夫さん

中井久夫さんが亡くなられたらしい。 中井さんの本は随分ともっている。50冊くらいはありそうである。 最初に氏の名前を知ったのは、1990年に刊行された「吉田健一頌」(書肆 風の薔薇)に収載されていた丹生谷貴志氏の「奇妙な静けさとざわめきとひし…

「神の子どもたちはみな踊る」

「神の子どもたちはみな踊る」は村上春樹氏が2000年に刊行した連作短編集で、当初「新潮」に連載された時には「地震のあとで」という総題がふされていた。ここでの地震は神戸淡路大震災である(1995年1月)。なおこの神戸の地震からすぐの3月には…

楠木建氏

勢古浩爾氏が「続・定年バカ」(SB新書 2019)で、楠木建氏の「すべては「好き嫌い」から始まる(文藝春秋 2019)」を紹介して、橘木の好悪を紹介している。 それは、「賭け事はまったくやらない。競技スポーツは嫌い。テレビはみない。」「徹頭徹尾…

読んで来た本 9 (番外) 音楽関係

わたくしは昭和22年の生まれで、小学校入学時にも(今から思えば)まだ敗戦後であり、音楽などというものに接触する機会もほとんどなかった。せいぜいラジオから流れてくる音楽で、今でも覚えているのが、「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台 が鳴り…

前文訂正

昨日の記事で、ロシアからマックやスタバは西側の文化の象徴として撤退しないほうがいいのではなどと書いた。 ところが、今朝の朝日新聞をみたら、「閉店したはず マックに人波」という記事が載っていてびっくりした。本店は確かにロシアの店舗を一時(?)…

最近のウクライナの戦争についての報道

最近のウクライナの戦争についての報道をみていると、ロシアの側が100%悪く、ウクライナの側が100%正義とするものばかりである。「盗人にも三分の理」ということもあるから、世におきるあらゆる出来事で一方が100%正しく、もう一方が100%間…

S・ピンカー氏のウクライナでの戦争への見解

今回のウクライナでの戦争が始まってから、「21世紀の啓蒙」や「暴力の人類氏」を書いたS・ピンカー氏ならこの事態をどうみているのだろうかと思っていたところ、氏がこの事態への見方についての見解を書いていることをしった。(ボストン・グローブ」に寄…

言語と国境線

林達夫氏が敗戦後のアメリカ占領下で書いた「新しき幕開け」という文に以下のようなところがある。「あの八月十五日の晩、私はドーデの「最後の授業」を読んでそこでまたこんどは嗚咽したことを思い出す。」 この「最後の授業」は仏独国境で当時はフランス領…

壁と卵

文学の世界ではかなり権威のある賞であるらしいエルサレム賞というのがあり、2009年には村上春樹が受賞している。村上氏はそれでエルサレムに出かけ、受賞演説をした。しかし、ここではひと悶着があった。というのは、そのころイスラエルからのガザ地区…

渚にて

確かわたくしが中学に入ったばかりに上映されたアメリカ映画である。調べてみると1959年に上映とあった。白黒映画という今ではまずない、印象としてはとても地味な映画だった。 内容は東西冷戦下、第三次世界大戦が勃発し、核弾頭の打ち合いで北半球は壊…

読んで来た本(7)科学哲学

科学哲学に接するようになったきっかけははっきりしている。1980年から出版された岩波書店の叢書「文化の現在」の「喜ばしき学問」というのを買ったことである。何で買ったのかは思い出せない。このころ目にすることが多かった阿部謹也さんの文を読もう…

政治音痴を自認する人間の考えるいくつかの疑問

1) 現在ロシアがやっていることは、戦前の日本が中国におこなっていたことと同じなのではないだろうか?(日本の場合は、もっと稚拙なやりかたであったかもしれないが) なぜかそのことを指摘する「左」のひとが多くないように感じる。なぜだろうか?2) …

市民達よ 武器を取れ

「市民達よ 武器を取れ」Aux armes, citoyens, というのはフランス国歌の一部で、もともとはフランス革命の時に歌われたものらしい。 ところで、フランス世紀末の詩人ラフォルグは「最後の詩」「Ⅵ 簡単な臨終」の一部でこんなことを歌っている。(吉田健一訳…

デモクラシー

わたくしは全くの政治音痴なので以下書くことはまったくの見当はずれかも知れないが、デモクラシーという形態が、今、崩壊し始めているように思う。 デモクラシーの前提はわれわれには何が正しいかはわからない、ということだと思う。何が正しいかわからない…

ワクチン3回目

昨日3回目の新型コロナワクチンの接種を受けた。接種部の軽い痛み以外には特に副反応はない。(1・2回目も同じで、わたくしは、副反応は軽いほうのようである。)接種は3回ともファイザー製のワクチン。 わたくしの場合は、少し特殊なケースで、1・2回…

読んできた本(5)福田恆存

福田氏の本を読むようになったのは、前に書いた通り吉本隆明が薦めていたからであるが、最初に読んだのは当時新潮社から刊行されていた「福田恆存評論集」の1と2におさめられていた「芸術とは何か」と「人間・この劇的なるもの」で、特に後者に驚いたよう…

東大医学部進学過程(理科Ⅲ類)を受験するということ

報道を見ているだけでは何だかよくわからないところがあるのだが、大学受験をめぐる事件がおきたようである。 事件をおこしたとされる高校2年の学生さんは東大医学部を目指していたが、成績がいま一つになって、ここからが理解不能なのだが、それで死のうと…

読んできた本(4)

例年、大体3月には終わっていた医師研修制度反対ストライキが4月になっても終結せず、例年より長引いていたが、それでももう1~2月で終わるだろうと多寡を括って、4月からアテネ・フランセに通いだしたりした。(これは半年ほどで挫折した。もう10月…

読んできた本(3)

一浪して大学に入る前後に読んだ本については記憶が混乱していて、前後関係がはっきりしないところが多いが、おそらく大学に入ってすぐに読んだのが、江藤淳の「成熟と喪失」であったのだと思う。 大学に入ったのが昭和41年(1966年)で刊行も同年、お…

二つの正直

「論語・子路篇、十八」に以下のような有名な(だろうと思う)一節がある。 葉公が孔子に自慢気に話しかけてこう言った。 わたしの村に正直者の躬と呼ばれる男がいます。なぜそう呼ばれるのかというと、どこからか迷いこんで来た羊を躬の父親が自分のものに…

読んできた本(2)

中学に入ると、算数少年から文転して小説ばかり読んでいる怠惰な中学生となった。 最初に読んだのが、そのころ河出書房から出ていた世界文学全集の別巻の「風と共に去りぬ」だった。なぜこれを読んだのかはその時刊行されていたからとしかいえないが、この小…