平和主義?

 今朝の朝日新聞の朝刊の「論壇時評」に政治学者の宇野重規氏が「平和主義の行方 どう語るか」という論を寄稿している。そこに山本昭宏氏の『日本の戦後平和主義が「ほぼ有名無実化」した』という言葉が引用されていた。
 福田恆存氏が「平和論にたいする疑問」を書いたのは昭和29年と思うので今から約70年前、そのころの「平和論」と称するものは福田氏の論から数年で完膚ないまでに粉砕されたと思っていたので、現在まだ平和主義などと言っている人がいるらしいことに驚いた。そのころの「平和論」と今の「平和主義」は別物なのだろうか?
 宇野氏も山本氏もその論を詳しく読んだことはないので、新聞の片々で判断してはいけないとは思うのだが、それでも、そもそも「平和主義」というのは邦訳可能な語なのだろうか? (と思ったら、Wikipediaに「平和主義(Pacifism)という項目があり、「戦争や暴力に反対し、恒久的な平和を志向する思想的な立場」とあった。」
 しかし宇野氏の論で言われているのは「戦後平和主義」である。なぜ戦後なのか?
 もしも「平和主義」がWikipediaの定義の通りであれば、これが「戦後」に限定されるものになるはずはないように思うのだが・・。
 (Wikipediaで見たら宇野氏は。2020年日本学術会議の新会員の推薦を受けていたが、政府によって任命を拒否された人の一人らしい。)