2002-04-01から1ヶ月間の記事一覧

広井良典「定常型社会 新しい「豊かさ」の構想」 

岩波新書 2000年6月20日初版 きわめて理念的な提言の本。したがって具体的な財政的裏づけや、それを実現する政治過程といったものはほとんど視野にはいっていない。 富の成長にかかわるのが”経済”であり、富の分配にかかわるのが”政治”であるとすれば…

スティーブン・キング「アトランティスのこころ」

新潮社 2002年4月25日初版 キングの長編小説というか、中篇を5編つなげた特殊な構造をもつ小説。 約半分を占める最初の部分は、時代は1960年で、キング特有の異世界ものの構造をもつ。そこでの主人公の少年とその女友達と男友達がその後の物語を…

養老孟司「人間科学」

筑摩書房 2002年 4月25日 初版 とんでもない本ではある。古来からの哲学の大問題に一人で格闘しているような趣がある。だから、ここでとりあげられているどれか問題一つをとっても、それについて古来から万巻の書が書かれているはずで、それを読んで…

池上直樹 J.C.キャンベル「日本の医療 統制とバランス感覚」

中公新書 1996年8月15日初版 日本の医療経済学者とアメリカの日本の政治を研究している政治学者による日本の医療政策を論じた本であり、もともとは医療費の高騰でどうにもならなくなっているアメリカに、なぜ日本の医療が低医療費ですんでいるかを紹…

[読書備忘録{竹内靖雄「「日本人らしさ」とは何か 日本人の「行動文法」を読み解く」

PHP文庫 2000年3月15日初版 「日本人の行動文法」として1995年10月に東洋経済新聞社から刊行されたものに加筆し改題したもの 行動文法は不変ではない。社会的状況が激変すれば、それに応じて意外に急速に変る、というのが前提になっている。…

山本七平「日本資本主義の精神 なぜ、一生懸命働くのか」

光文社文庫 1984年9月10日初版 カッパ・ビジネスとして1979年初版 この本は1979年に書かれているから、まだ日本的経営がもてはやされていた頃に書かれている。 山本氏はいうまでもなく山本書店店主であるが、氏の業界である出版界において多…

小室直樹「日本資本主義崩壊の論理 山本七平”日本学”の預言」

光文社カッパ・ビジネス 1992年4月25日 初版 今から10年前に書かれた本。 日本社会科学の三大不思議。1)「日本資本主義の精神」研究の不在 2)マルクシズム研究の不在 3)崎門の学からの天皇研究の不在 1)をおこなったのが唯一、山本七平「日…

野口武彦「幕末気分」

講談社 2002年2月20日 初版 幕末の、町人、武士から、将軍までの生態を描いたもの。要するに誰も明治がくるなんて思ってもいない(あとから考えれば大)変革期に右往左往しながら生きるひとびとのさまざまな姿を通して、われれれの時代もあとからみる…

中井久夫 「清陰星雨」 

みすず書房 2002年4月5日初版 精神科医(だけのわくには収まらないひとだが・・・)である中井氏の最新エッセイ集。 中井氏はよく、分裂症(と最近では呼ばないことになったが)素因をもちながら、不断の努力によって、発症せずに(あるいは短期の発症…

広井良典 「医療の経済学」 

日本経済新聞社 1994年8月24日 初版 同じく、自分の専門的興味から読んだ本。 日本の医療費は、60−65年に大きく伸びている。これは、国民皆保険(’61)によるアクセスの増加による。 70−80年に再び大きく伸びる。投薬・検査の増加、物価ス…

広井良典 「医療保険改革の構想」

日本経済新聞社 1997年1月20日初版 まったく自分の専門的興味から読んだ本。 従来の日本の医療は、「途上国型医療」であり、「質は二の次でよいから、国民誰もが安い値段で医療サービスを受けられる」ことを目指した、公平・平等を求める制度であった…

小室直樹「国民のための経済原論Ⅰバブル大復活編」 

光文社カッパ・ビジネス 1993年5月30日初版 「日本経済崩壊の論理」の続編である。1993年に書かれている。 バブルの崩壊という予言は、それがおきるまでは誰も信じないものである。そして20年たつとまた人々の記憶が薄れ、再びバブルがおきる。…