2021-01-01から1年間の記事一覧

二つの正直

「論語・子路篇、十八」に以下のような有名な(だろうと思う)一節がある。 葉公が孔子に自慢気に話しかけてこう言った。 わたしの村に正直者の躬と呼ばれる男がいます。なぜそう呼ばれるのかというと、どこからか迷いこんで来た羊を躬の父親が自分のものに…

読んできた本(2)

中学に入ると、算数少年から文転して小説ばかり読んでいる怠惰な中学生となった。 最初に読んだのが、そのころ河出書房から出ていた世界文学全集の別巻の「風と共に去りぬ」だった。なぜこれを読んだのかはその時刊行されていたからとしかいえないが、この小…

読んできた本(1)

来年の1月に75歳、後期高齢者になるので、この機会に今まで読んできた本を少しふりかえって見ようかと思う。何しろ記憶力がとみに低下してきているので、随分と事実とは違っているかもしれないが・・・。 小学校時代は算数少年だったのであまり本を読んだ…

朕はタラフク食ってるぞ ナンジ人民 飢えて死ね 

これは、敗戦の翌年、皇居前広場(当時は人民広場と呼ばれていたらしい)でおこなわれた食糧難を訴えるデモで掲げられたプラカードに書かれた文言らしい。餓死者が続出していた時代である。 最近の小室氏あるいはその周囲へのバッシングには何かそれに似たも…

夕刊が午後三時にくるようになった

わたくしがととっているのは朝日新聞だが、夕刊の配達時間が段々と早くなり、最近では午後三時ごろ配達されるようになった。 当然その日の午前におきたことなどを記事にできる時間などはないはずで、もっぱらあらかじめ作成してあったようなものばかりである…

デノンのCDプレイヤー DCDシリーズ

デノンのこのシリーズは外観がコンパクトでスマートということで購入したのだが、暫く使ってい てトラブル続出となった。 この機種はCDの出し入れがトレイ式ではなく、挿入口にデスクをある程度までいれると機械があとは引き入れてくれる方式なのだが、ま…

そうですねえ

オリンピックのテレビをみていると解説者がやたらと「そうですねえ」といっている。「いや違います」というひとはまずいない。同調圧力? パラリンピックというのをみていると、あらゆる競技が男女別であることに疑問がわいて来る。男女をわけずにしても、た…

客観的な医療

今、コロナウイルス感染の増大のため、疾患の重症度によって入院の適応を決めるという提案がなされている。 その適応を決めるのがパルスオキシメーターによる酸素飽和度の数字なのである。 医師であれば、この提案をみて唖然としないものはないだろう。 病気…

オリンピックへの暴論(2) 勝って来るぞと勇ましく

高校野球などで、出場校の地元の公民館などで地元のひとが集まって旗などを振っているのをテレビで見ることがあるが、死ぬほど不愉快である。これは現在批判の的になっている同調圧力そのものである。勝ってくるぞと勇ましく ちかって故郷を 出たからは 手柄…

一億白痴化

テレビが日本に普及し始めた1957年、これを『一億白痴化運動』と評したのは大宅壮一である。「テレビに至っては、紙芝居同様、否、紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって、『一億白痴化…

アトランティスのこころ

このところ暇しているのでアマゾンで映画「アトランティスのこころ」をみた。 これはスティーブン・キングの「Hearts in Atlantis」を映画化したもので、「黄色いコートの下衆男たち」「アトランティスのハーツ」「「盲のウイリー」「なぜぼくらはヴェトナム…

藤田紘一郎さん

藤田さんの「もしも、私が「がん」になったら。」(光文社新書 2021 4月)を読んでいたら、その藤田さんの訃報が報じられた。誤嚥性肺炎ということであった。誤嚥性肺炎は相当抵抗力・体力が落ちた高齢者の病気だから、「癌」とか何らかの基礎疾患があ…

走る人

最近、散歩をするようになって感じるのがジョギングというのだろうか走っている人がとても多いということである。時によると歩いているひとより走っている人の方が多いことさえある。 これはロコモティブ・シンドローム(高齢になって筋力の低下によって日常…

シン・ゴジラ

今日午後暇だったので、アマゾン・プライムで「シン・ゴジラ」を初めて観た。 前半は現在のコロナ禍における日本の混乱を予見したみたいで(もちろん本作はコロナ禍以前の製作)、それなりに面白かったが、後半になると神風特攻体を想起させるような話になっ…

G7

現在、英国でG7(2021G7サミット)がおこなわれているのだそうである。 参加国は、英米加独仏伊そして日本。菅首相はコロナ・ワクチン接種率が低いので肩身がせまい思いをしているのだそうである。 なんで、日本でワクチン接種がこんなに遅れている…

一般男性 一般女性 上級国民

最近ネットなどで良く読むことがあるが、とても不愉快な言葉に、「一般人」と「上級国民」という言葉がある。 あるところで、「一般男性・一般女性」というのは、芸能人やスポーツ選手、著作者などのようにマスメディアで活動していない人のことで、そのプラ…

コロナ・ワクチン接種の予診票の問題

今日の朝日新聞の3面に「接種 予診票の質問で混乱」という記事がでていた。この3面はすべてコロナ・ワクチン関連の記事でその中でも目立たない記事である。 この「接種 予診票の質問で混乱」というタイトルでは「あ、また混乱ね!」と受け取られるだけで、…

ワクチンの打ち手

最近、コロナワクチンの接種が少し進んできて、打ち手の問題がクローズアップされてきている、 要するに接種の筋肉注射は医療行為であるから、癌密に資格を有するひとのみが行えるものであるということで、医師・看護師などに限定されるという話である。 し…

開戦前夜?

最近、オリンピックをめぐって色々な意見が飛び交っている。そこでは今の感染状況でオリンピックが開催できるだろうかという一見科学的なあるいは客観的にみえる議論においても、その根底には日本はバカにされている、あるいは日本人の見方は無視されて、欧…

東京の街並み

最近わけあって散歩をする機会がふえている。それで近所を散策してみて感じたことを少し書いてみる。 一言でいうとまことにつまらない街だなあということである。 ヨーロッパにいっていつも驚くのが、街並みがとても整然としていることである。皆、似たよう…

コロナ・ワクチン2回目

3週間前に一回目を打ったので13日に二回目の接種をした。一回目は注射部位の疼痛程度くらいであったが、今回はやや倦怠感があったが軽微であった。これで10日前後たてばほぼ高率に抗体ができてくるはずである。 外来でも高齢の方がようやく予約がとれた…

新聞がおかしくなってきている?

新聞といってもわたくしがとっているのが朝日新聞であるので、それへの感想である。 最近やたらと広告が多くなってきているなあという印象があったので、本日の朝刊を調べてみた。 2面通しの広告が一つ、全面広告五つ。その一つはコロナワクチンについての政…

コロナ・ワクチンの接種

医療者の特権で2週間前に第一回の接種を受け、来週に二回目を受ける予定である。 少なくとも、第一回目ではほとんど副作用はでなかった。(接種の翌日に接種部の軽い痛みがあった程度。) 接種の前に予診票にいろいろ書かねばならないところがあるのだが、…

 今日入手した本 谷川俊太郎 山田馨 「ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語る」 (ナナロク社 2010年)

もう10年以上前にでた本だが、まったく知らなかった。偶然、書店でみつけたもの。山田氏は岩波書店の編集者で谷川氏と個人的にも親交のあるひとらしい。 対話で読みやすいこともあるが、面白く、飛ばし読みであるが、かなりをもう読んでしまった。 「二十…

今日 入手した本 若松英輔「霧の彼方 須賀敦子」 集英社 2020年6月

新聞で紹介されていたので購入したのだが、パラパラと見た印象ではわたくしにはどうも苦手な方向の本のようである。明確にカトリック教徒としての須賀氏を論じた本のようで、「霊性」とか「霊と肉の相克」とか「キリスト者」とかとかいった言葉にあふれてい…

今日入手した本 布施英利「養老孟子入門」ちくま新書 2021年3月

著者の布施氏は養老さんのお弟子さんのような方なのだろうと思う。最初氏のことを知った時に、東京芸大出身の人が何で東大解剖学の助手をしているのかなと不思議に思ったのと、変わった髪型の人だなと思ったことを覚えている。 氏は美術という文系から解剖学…

今日入手した本 山本七平「渋沢栄一 近代の創造」祥伝社 2009年7月

最近の大河ドラマの影響か渋沢栄一の本が書店にあふれている。それで思い出して、昔買ったが読まずに積読になっていた鹿島茂さんの「渋沢栄一 Ⅰ 算盤篇」「渋沢栄一 Ⅱ 論語篇」(2011年1月)の大部の二巻本を本棚の奥から引っ張り出してきた。この本が…

荒川洋治「文学は実学である」(みすず書房 2020年10月刊)

荒川さんの本は、「文芸時評という感想」がとても面白かったので、昨年10月に出たこの本も読んでみることにした。 「文芸時評という感想」では、例えば「環境文学の一面」での大江健三郎を評した「結局、家族のことだった のかと思う」とか、「宮沢賢治と…

本日の朝日新聞の朝刊の川上弘美さんの文

本日の朝日新聞の朝刊に川上弘美さんが「生きている申し訳なさ」という文章を寄せている。 東日本大震災から10年の時間が経過して、最近、テレビなどでも多くの番組が作られているが、それに関連した寄稿である。 当時は当事者だと思ったが次第に傍観者に…

ピーター・ゲイの「モーツァルト」

碩学ピーター・ゲイの書いたモツアルト論ということで読んでみた。 基本的にモツアルトの伝記であるが、そこに適宜ゲイのモツアルト賛歌が挿入されるというような構成である。とにかくゲイが音楽好き、モツアルトの熱烈な賛美者であることだけはよくわかる本…