2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

(12)2011・3・29

昨日、東電の副社長さんが、「今後の見通しはあと一月ですむか一年以上かかるのか?、なんともいえない」というようなことをいっていた。こういうことが表明されたのははじめてではないだろうか? 今の状態が日常になっていくわけである。 がんセンターが、…

(11)2011・3・28「関東平野」

ここで書いている内容には、自分が64歳であるということが非常に大きく影響していると思う。20年後の発癌などというわれてもどうということはないと思ってしまう。しかし、若いひとはそうは思えないだろう。わたくしの娘は去年の八月に子供を産んだが、…

(10)2011・3・27「言霊」

昨日の言霊の続き。 言霊を信じるというのは「ある言葉を口にすると、それが実現してしまう」という信仰である。それを逆にするとどうなるか? 「ある言葉を口にしなければ、それは存在しなくなる」である。「言葉狩り」というのはそれに由来するのだと思う…

(9)2011・3・26

昨日の「雨がガアガア降つゐます」の続きである。 これはアメリカの核実験についての話である。昭和35年ごろに書かれた文であることが重要で、そのころは東西冷戦というものが存在していた。ソ連とか中国とか東欧とかは天国で、西側は悪の巣窟。当然、北朝…

今日入手した本

苦海浄土 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者: 石牟礼道子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/01/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 78回この商品を含むブログ (44件) を見る 石牟礼道子氏のことに関心をもったのは、渡辺京二氏の文…

(8)2011・3・25「吉田健一の本から」

外来はほぼ普通通りにおこなわれいている。予約した人は大体くるし、どうでしたか?ときくと特に変わりはありません、という。次の外来の予約も今まで通りに行われている。地震の体験を口にするひともあまりいないし、1月後には東京がどうなっているかわか…

(7)2011・3・24「放射線障害と生活習慣病」

乳児は水道水を飲むなということになった。今までの報道は「・・が検出されましたが、直ちに健康障害が生じる心配はありません、というのが多かった。「直ちにはないでしょう」といわれると、「後からならあるのか」と思うのは人情で、今回の水道水にしても…

(6)2011・3・23「関東大震災」

昨日、城東地区の15ほどの病院があつまって、救急医療の段階を脱しつつあるが、これから長期のサポートが必要になる疾患が中心になっていくであろう被災地の患者さんが、交通手段が回復するにつれ多数東京にも来るであろうことを想定して、お互いのベッド…

(5)2011・3・22「神戸・淡路大震災」

「1995年1月・神戸」「昨日のごとく」をぱらぱらと読み返している。これは当時神戸大学の精神神経科の教授であった中井久夫氏がまとめた神戸の震災についての記録である。 中井氏は書く。「震災の中心が神戸とは家族の一人としてつゆ思わなかった。「神…

(4)2011・3・21「黒い白鳥」

ムラーの「今この世界を生きているあなたのためのサイエンス(1)には「チェルノブイリから住民を避難させたことは、正しかったのでしょうか?」という疑問が提示されている。当時のソ連政府は、生涯の被曝線量が35レム以上になると予想されるすべての地…

(3)2011・3・20「瓦礫の中」

吉田健一の小説「瓦礫の中」は敗戦直後の東京を舞台にしている。書き出しは「こういう題を選んだのは曾て日本に占領時代というものがあってその頃の話を書く積りで、その頃は殊に太平洋沿岸で人間が普通に住んでいる所を見廻すと先ず目に触れるものが瓦礫だ…

(2)2011・3・19

朝、わたくしの勤める病院のすぐ近くにある大きな病院の院長から電話があり、東北からの患者さんの移送をこれからうけいれていきたいと考えているが、一つの病院だけでは限界があるので、近隣の数病院が連携してベッドを調整しながら対応していきたいとのだ…

(1)2011・3・18

もう一週間がたってしまった。すでに細部は記憶から消えかけてきているが、東京の小さな病院でそれがどのように影響したかの記録として、以下、少し書いてみることにする。 3月11日(金) 地震がおきた時、外来のブースから患者がちょうどでたところで、…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(2) 第2章「所有原理型医療システムの原型」明治期日本における開業医の形成

所有原理というのは本書にかなり特有な用語である。猪飼氏は、医療システムをまず、専門医と一般医を分離するシステムをもっているか否かで区分する。イギリス型は専門医と一般医を明瞭に区別する行き方である。それに対してアメリカと日本は分離しないシス…

猪飼周平「病院の世紀の理論」(1) 序章「病院の世紀という構想について」 第一章「病院の世紀の理論」

有斐閣 2010年3月 著者の猪飼氏は一橋大学の社会学の准教授。偶然、医療者に配布される刊行物で知るまで、まったく知らなかった方である。本書の内容は医療の世界にかかわっていない方にとってはあまり関心のないものであろう。したがって以下に書くこ…