2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

里見清一「医学の勝利が国家を滅ぼす」

新潮新書 2016年11月 これは昨年の「新潮45」11月号に書かれた「医学の勝利が国家を滅ぼす」を中心に、そこでの論旨を展開したものである。この「新潮45」11月号の論に関しては、すでに昨年10月21日のブログで感想を書いている。 そこでの…

虫明亜呂無「女の足指と電話機」

女の足指と電話機 (中公文庫)作者: 虫明亜呂無出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/11/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 虫明亜呂無という名前は知っていたが読むのは初めて。91年になくなった氏の文章を雑誌などでおそらく読ん…

雑感2

ネットで記事を見ていたら、ニューヨーク・タイムズが、米大統領選の結果を受けて、「選挙結果は劇的で予想外だった。トランプ氏が全く型破りだったため、我々メディアは彼に対する有権者の支持を過小評価したのか。なぜこのような結果となったのか」などと…

雑感

しばらく前のイギリスのEU離脱、最近の米国の大統領選挙などを見ると、知識人というかエリートと呼ばれているような人々の信用が地に落ちてきているように感じる。それと同時に、なんとなく社会を指導するひとと見られ、あるいは自分でもそう思っていたひ…

辻原登「籠の鸚鵡」

新潮社 2016年9月 辻原氏は19世紀の発明である小説を信じているひとなのだと思う。19世紀の小説は西洋が発明した個人とかかわるもので、市井の平凡の人間のなかにも神話の英雄に勝るとも劣らないドラマがあるのだという信念に基づく。ところが20…

大澤真幸「日本史のなぞ」

朝日新書 2016年10月 日本は外圧によって変わることはあるが、内発的に変わることはきわめておきにくい国である。したがって革命とみなされる社会変動はおきにくく、それが日本の歴史の特徴であるのだが、ただ一回、日本の歴史でうまくいった革命があ…