2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

田川健三 「キリスト教思想への招待」

[勁草書房 2004年3月10日初版] 田川健三という人の名前は以前からときどききいていて、キリスト教思想についてラディカルな主張をしている人というような噂であったが、どのようなことをいっているのかはまったく知らなかった。その氏が最近、一般む…

渡辺京二 「対談集 近代をどう超えるか」

[弦書房 2003年8月15日 初版] 渡辺氏と7人の対談集であるが、対談相手は榊原英資氏と中野三敬氏以外は知らないひとである。 「“江戸の平和”とグローバリズム」 対榊原英資 渡辺:室町時代に日本の村はできた。そのころの村は隣の村と山や水を争うミ…

嵐山光三郎 「口笛の歌が聴こえる」

[新風舎文庫 2003年11月5日初版 原著1985年初版] 小説ということになっているが、唐十郎、三島由紀夫、深沢七郎、横尾忠則、壇一雄などが実名で登場する著者の半自伝である。時代は1964年から69年まで。巻末にその時代の年表と登場人物の索…

谷崎潤一郎 「鍵・瘋癲老人日記」

[新潮文庫 1968年初版 原著1962年初版] 小林信彦の「面白い小説を見つけるために」を読んで興味をそそられたので、「瘋癲老人日記」を読んでみた。 恥ずかしながら谷崎の小説を通して読むのは初めてである。昔「細雪」を読み出したことがあるが、通…

橋本治 「ああでもなくこうでもなく4 戦争のある世界」

[マドラ出版 2004年5月16日初版] 橋本治が「広告批評」に連載している時評「ああでもなくこうでもなく」をまとめた本の第4冊目。その第3冊目もここでとりあげた。 時評であるからさまざまな話題をとりあげているが、そのうちのいくつか。 「年金問…

太宰治 「お伽草紙」

[新潮文庫 1972年初版 原著1945年初版] 小林信彦の本を読んでいて読みたくなった。 面白い。「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の4編をおさめる。 「瘤取り」のお爺さんも、「浦島さん」の浦島も、「カチカチ山」の狸も、「舌切雀」の…

小林信彦 「面白い小説を見つけるために」

[光文社 知恵の森文庫 2004年5月15日初版 原著「小説世界のロビンソン」は1989年3月初版] いわゆる小説らしい小説、前衛文学とかアンチ・ロマンとかでない普通の小説を擁護し続ける小林氏の小説論である。 わたくしは年に数冊しか小説を読まなく…