2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

長谷川郁夫「吉田健一」(5)第4章「「文学界」出張校正室」 第5章「戦争まで」

吉田健一の「交遊録」はそういうタイトルであるが一種の自伝でもある。そこで挙げられてられている友人は、牧野伸顕、ディッキンソン、ルカス、河上徹太郎、中村光夫、横光利一、福原麟太郎、石川淳、ドナルド・キイン、木暮保五郎、若い人達、吉田茂である…

長谷川郁夫「吉田健一」(4)第3章「二都往還」

この章は、ケンブリッジ入学後の時期をあつかう。 ケンブリッジにいくことを目指して、その準備のため入学の半年前に渡英したときには建築家を志望していた青年が入学の時には英文学専攻へと希望を変えている。入学試験対策で、シェークスピアの「十二夜」や…

橋口稔「ブルームズベリー・グループ」

中公新書 1989年 このところ、長谷川郁夫氏の「吉田健一」を少しずつ読みながら、吉田健一という文学者についていろいろと考えてみている。 吉田健一は若い頃にケンブリッジ大学に留学しており、いま丁度、長谷川氏の本のその辺りにきている。ケンブリッ…

長谷川郁夫「吉田健一」(3)第2章「メリ・イングランド」

第2章は「メリ・イングランド」である。本書の章名は本の題名からとられている場合が多いが、本章は福原麟太郎氏の著者であろうかと思われる。吉田健一のイギリス留学までの時期を扱っている。氏のイギリス・ケンブリッジへの留学はわずか半年であるが、そ…

長谷川郁夫「吉田健一」(2)第1章「水の都」と清水徹「ふたつの時間のはざまで」(叢書「文化の現在 7「時間を探求する」1981年所収)

第一章の「水の都」は、蝶になる前、まだ蛹の時代の吉田健一をあつかっている。 蛹の時代が論ずるに値するためには、後に立派な蝶になっていることが必要である。名をなした後の吉田氏を認めないひとももちろんいるであろうが、長谷川氏は吉田健一に惚れたひ…

長谷川郁夫「吉田健一」(1)

新潮社 2014年9月 著者の長谷川氏は小澤書店という出版社を経営していたかたである。この出版社は吉田氏の著作も多く刊行しており、わたくしも「定本 落日抄」「ラフォルグ抄」「葡萄酒の色」「時をたたせるために」「詩と近代」「春その他」の6冊をも…