2018-01-01から1年間の記事一覧
集英社新書 2018年 このような本が刊行されたのは今年が堀田氏生誕100年(没後20年)にあたるということのためらしい。わたくしは堀田氏の本は「ゴヤ」しか読んでいない。手許の本の奥付は1977年刊の10刷となっている。30歳の年であるが、…
「世界一「考えさせられる」入試問題」という本が最近文庫化された。オックスフォードとケンブリッジの入学試験での面接問題を紹介し、著者が回答例を付したもので、そこに「フェミニズムは死にましたか?」というケンブリッジ大学古典学での問題も紹介され…
朝日文庫 2018年10月 2010年の刊行された単行本の文庫化で、文庫化に際し2編の文が追加されている。 この本を読んで、どこかで丸谷才一氏が、まだウーマン・リブと呼ばれたりもしていたころのフェミニズムのある集会を評して、観念論に門構えとし…
亀山郁夫氏と沼野允義氏の「ロシア革命100年の謎」を論じていたときに、鹿島茂氏の「ドーダの近代史」(単行本)(「ドーダの人、西郷隆盛」(その文庫化))を思い出した。というか本当は逆で、最近文庫化された「ドーダの人、西郷隆盛」を読んでいたら…
第11章「ロシア革命からの100年 ポストモダニズム以後」では1990年以降のことを語るとされているのだが、ここでいきなりポストモダニズムの話がでてくるのがわからない。さらにわからないのがポストモダンという場合のモダンが西欧で20世紀初頭に…
第10章「ロシア革命からの100年 雪解けからの解放」で沼野氏はこんなことを言っている。「社会主義は理性による欲望の抑制というよりも、自然な状態なんじゃないですか。ぼくに言わせれば、資本主義は病気みないなものなので、病気の人と健康な人を一緒…
2018年 9月 NHK出版 いろいろな人が中学生に一冊の本をとりあげて講義するというNHKの番組があるらしく、これは養老孟司氏がお茶の水女子中学の生徒15人に夏目漱石の「坊っちゃん」について語った番組をテキスト化したものらしい。 漱石「坊っ…
23ページで亀山氏は「革命は善であるという前提がいつ、どこで崩れたか」ということをいい、それに対し沼野氏は自分にはその前提はない」と答える。それに対し、亀山氏は自分は「暴力というものに嫌悪感をもつのだが、ロシア革命というのは正義の暴力だっ…
2017年 河出書房新社 本書は昨年刊行されている。ロシア革命が1917年だから、昨年はロシア革命100年の年であったわけである。そういわれてみればそうだったと感じるくらい、昨年がロシア革命から100年の年であることについて論じたり考察した…
岡田氏のいう「自己表現するロマン派」というのは、大きな視野でみれば、フランス革命の産物ということになると思うが、それと対立する「反=フランス革命」路線というのも、また西欧の思想のなかでつねに一定の勢力を占めてきている。わたくしが二十歳をす…
本屋を覘いていたら、「主よ 一羽の鳥のために 須賀敦子詩集」というのがあった。 これは須賀氏の死後、見つかったもので、1959年の1月から12月に書かれたものであるが、たまたたその時期のものだけがみつかったのか、この時期だけ詩作をこころみたの…
養老孟司さんの近刊「半分生きて、半分死んでいる」を読んでいて、「国だけを公とする考えを右翼といい、個と公をごっちゃにするのを左翼という」という文が目についた。 前半はわかりやすい。公と対立するものは私であろうが、右翼は私のために生きる方向を…
最近、ちくま文庫で刊行された「吉行淳之介ベスト・エッセイ」に「「根性」この戦後版ヤマトダマシイ」という文があった。文庫にはいつ書かれたものであるかが記載されていないが、「オリンピック前後」とか「女子バレーボールの大松監督」などとあるから、…
クラシック音楽とは何か、という問いに、仮に答えて、それはベートーベンのことである。あるいはベートーベンの作曲した音楽のことであるとしてみよう。 吉田健一の「文学の楽しみ」の第7章は「西洋」と題されていて、そこに岡倉天心がベートーベンの第五を…
最近、刊行された「世界の未来」という「朝日地球会議2017」に参加した数名の講演記録とE・トッドへのインタビューを収めた新書で、トッドがわれわれが、自分は「帝国以後」を書いたときとは、かなり違う見地にたってきているということを言っている。…
石牟礼道子さんが亡くなったらしい。 多くの方がそうなのではないかと思うが、わたくしも石牟礼氏の名前を初めて知ったのは「苦海浄土」の作者としてである。「苦海浄土」は水俣病被害を告発する反=公害の文学というような触れ込みであったから、わたくしが…
今、われわれが自明のものとしているさまざまな価値観は結局のところ西欧に由来しているのだと思う。それは突き詰めれば「個人」というものにいきつくような何かで、現在の中国あるいはロシアがどの程度「個人」を尊重しているのか大いに疑問はあるにしても…
小学館 2017年11月 このようなタイトルの本ではあるが、すべての内容がその問題を論じているわけではない。しかし、多くはそれと関連した話題を扱っているので、しばらく、この本にそって、それについて考えていきたい。 で、岡田氏によれば、クラシッ…
明治維新が1868年なので、今年は明治150年ということになるらしい。 去年がロシア革命100年だったわけで、この1〜2年いろいろと節目の年ということになるのかもしれない。 明治維新というのは、日本が自己の規範を中国から欧州へと切り替えた年 …
精神の政治学 (中公文庫プレミアム)作者: ポール・ヴァレリー,吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/12/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 吉田健一訳 ポール・ヴァレリー「精神の政治学」 中公文庫 2017年12月 吉田健…